個人通算最多安打記録に迫る中京大・和田＝パロマ瑞穂球場で

　巧みなバットコントロール、的確なミートで左右に打ち分ける。愛知大学野球リーグ１部、中京大の和田佳大（けいた）内野手は２０１６年春から１２０安打を積み上げてきた。１９９２年に神野純一（愛工大）が記録した通算個人最多安打１２５にあと５。学生生活最後のリーグ戦となる５日からの第６週の中部大戦でリーグ記録に挑む。
　
　今季の序盤は上体が浮き、ストライクとボール球の見極めができなかった。内角を攻められて打席を飛び出したのに、球審の右手が上がるケースも何度かあった。練習で「重心を低くしてもっとボールを見る」と修正。中盤から復調した。
　
　自分の打撃を常に冷静に見詰める。調子がいいときほど打撃練習はチームメートより少なくなる。「つい強振しようとして体が開いてしまう」と戒めてきた。好不調の波がほとんどなく、１８年秋から２８連続試合安打を継続中。０６年春に平手敬介（中京大）がマークした２５試合のリーグ記録を更新した。
　
　字を書くのも箸を持つのも左手だが、物心ついたときから右投げ。小学生時にソフトボールを始めたときは右打ちだった。単純に一塁ベースに近くなるからと左打ちとなった。
　
　「両手でバットを握ると左の方が力が強いので、こねてしまうことが多かった」と、現在は左手はバットに添えるだけ。１６８センチ、６７キロで外野手の頭上を越える長打はほとんどない。「でも、インパクトの瞬間は左も握るので、それがボールを押し込む力になっている」と、鋭い打球が生まれる理由を明かす。
　
　最多安打へのハードルは決して低くない。ただ今季は９試合戦って３安打が１試合、２安打が５試合。「無理とも、大丈夫とも言えない」と微妙な言い回しになるが、チームは優勝の可能性がある。「１番打者の僕が出塁すれば好機が増える」。記録と勝利を貪欲に目指す。（東郷賢一）

（2019年10月3日　中日新聞朝刊25面より）