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中日新聞掲載の大学記事

大学野球  スポーツ  2019.08.31

愛知大学野球 秋季リーグ きょう開幕 新風 俺が 秋も熱く

下半身を強化し、自慢のパワーに磨きがかかった中京大・沢井。秋こそ大学初本塁打なるか

下半身を強化し、自慢のパワーに磨きがかかった中京大・沢井。秋こそ大学初本塁打なるか

 愛知大学野球秋季リーグ(中日新聞社後援)の1部は31日、名古屋市のパロマ瑞穂球場で開幕し、7週にわたって優勝を争う。優勝校は明治神宮大会の出場権を懸けた愛知・東海地区・北陸3連盟王座決定戦(10月26、27日・弁慶スタジアム=石川県小松市)への切符を手にする。

 4年生にとって学生生活最後のシーズン。有終の美を飾ろうと猛暑の中、厳しい練習やオープン戦で実戦感覚を研ぎ澄ませてきた。一方で、春季リーグは各校ともデビューを果たした1年生が多かった。中でも活躍が目立った沢井廉(中京大)小林大介(名城大)の両外野手を紹介する。

 春季リーグで新人賞を受賞した沢井は安打の半数近くが長打というパワーを誇る。打率4割(リーグ3位)の小林は安打の半数が内野安打の快足が自慢。タイプが全く異なる左打者が新風を吹き込み、そろってベストナインに選ばれた。2人は「今季は春以上に大事」と意気込んでいる。

■1部展望 愛工大を追う中部大、中京大

 春秋連覇を狙う愛工大、勝率で及ばなかった中部大、巻き返しを図る中京大の春季リーグの上位3校が優勝争いの中心となりそう。名城大、東海学園大、愛院大も春から底上げし、上位3校にひけを取らない。戦力が拮抗(きっこう)し、最後まで目が離せない展開となりそうだ。

 愛工大は今春、14季ぶりに昇格し即優勝。大きな自信をつけた。6勝を挙げ、最優秀選手賞を受賞した新村がチームを引っ張る。左腕中村の出遅れは気掛かりだが、1年生の左腕室田、山口らが成長。打線も近沢、谷川ら1年生が上級生に刺激を与えている。

 中部大は春に最優秀防御率賞を獲得した平松、駒田が投手陣の中心。経験豊富な左腕野村、山内が控える。打線は新たに4番に座る予定の中川への期待が大きい。今春まで3季連続で開幕カードで勝ち点を落とした。今季はまず名城大戦に全力を傾ける。

 中京大の春のチーム打率3割5厘はリーグ1位。和田、西村、松井らが並ぶ打線は多彩な攻撃ができる。鍵を握るのは投手陣。春は左腕伊藤稜、香村が台頭した。不調だった初祖、左腕山本が本来の投球を取り戻せば、3季ぶりの優勝が現実味を帯びてくる。

 名城大は今春、二宮がエースに成長。2回戦の先発を左腕村瀬、1年生の横尾、真田らで争う。打線は1年生トリオに注目が集まる。春に活躍した小林に加え、野口、藤崎も先発に名を連ねそう。順調なスタートが切れれば、チームが一気に勢いづく。

 東海学園大の春の得点32はリーグ最少。打撃賞(首位打者)に輝いた三村の前後を打つ打者の出来がチームの命運を握る。投手陣は山口、今野、稲葉に加え、オープン戦では野崎が好調だったのが心強い。古田、浜口の両左腕がリリーフで控える。

 愛院大はエース佐藤良が左肩甲骨周辺を痛め、序盤は救援に回る。白木、1年生左腕の荒島らで穴を埋める。打線は中軸を担っていた岡を1番に据える予定。先取点を奪い、試合を優位に進めるのが狙い。要所で多かった守りのミスをなくしたい。

 秋季リーグでは採用していなかった指名打者制が3年ぶりに復活する。

■中京大・沢井 春新人賞 広角に長打

 鋭い打球はあっという間に外野手の間を抜けていく。しかも広角に打ち分けることができる。春は全12試合に先発出場し、打率3割1分4厘(51打数16安打)10打点。十分の数字にも「内容は良くなかった」と自己採点は厳しい。

 二塁打6、三塁打1で本塁打はゼロ。中京大中京高(愛知)では通算31本塁打。「ホームラン打者だと思っていないけど1本も打てなかったのは悔しい」と顔をゆがめる。

 リーグ序盤は直球に差し込まれる場面があった。「高校生と大学生はボールの力が違う」と、戸惑ったが目が慣れると快音が続いた。中盤以降は落差のある変化球が増えたが対応。ただ外角にきちんと投げられると「うまく打てなかった」のも不満だった。

 6~7月に先輩たちと一緒に陸上競技部の青戸慎司監督(男子100メートル元日本記録保持者)から指導を受け、「足がよく上がるように」と主に股関節周辺の筋肉を鍛えた。「動きが軽くなったし、外角球を下半身で押し込めるようになった」と効果を実感。課題克服へ手応えをつかんでいる。

 春は指名打者として11試合に出場したが、今季は守備にも就く予定。「強肩になりたい」と肩の可動域を広げるトレーニングも始めた。常に高い目的意識を持ち、走攻守のレベルアップを図っている。

■名城大・小林 快足2番 振りも鋭く

 高く弾んだ打球が投手の頭上を越えると安打を確信する。50メートルを5秒8で駆け抜ける足がある。春は30打数12安打。6本が内野安打だった。「もっと力強い打球を打ちたい」と今夏は打法改造に取り組んできた。

 しっかり踏み込んで打つことを強く意識している。春はノーステップ打法。3月のオープン戦で全くタイミングが合わず、「ボールをしっかり見たい」の一心からだった。開幕週は先発出場の機会がなかったが、調子が上向いた第3週(チームの2カード目)から先発に名を連ねるようになった。

 以後は順調に安打を重ねた。チームに欠かせない戦力となったが、決して満足できる内容ではなかった。打球が外野に達した安打の内訳は左方向が6、センター返しが1。長打もなかった。春はボールをよく見て、投手が不利なカウントからストライクを取りにくるところを狙っていた。今季は初球から踏み込んでフルスイングを心掛ける。打順は春と同じ2番。「でも長打も打てるようになりたい」と新しいスタイルでチームに貢献することを誓う。

 今季を大学生活4年間の中でも一番大事と捉えている。「結果を残さないと春はたまたまと言われる」。スイングは春より一段と鋭くなった。

■1部の試合日程

8・31 愛工大-愛院大 中京大-名城大 パロマ瑞穂
9・1  名城大-中京大 愛院大-愛工大 パロマ瑞穂
  7  愛工大-東海学園大 中京大-愛院大 中部大-名城大 パロマ瑞穂
  8  愛院大-中京大 東海学園大-愛工大 名城大-中部大 パロマ瑞穂
  14 中部大-愛院大 中京大-東海学園大 豊 田
  15 東海学園大-中京大 愛院大-中部大 豊 田
  21 愛工大-名城大 中部大-東海学園大 パロマ瑞穂
  22 東海学園大-中部大 名城大-愛工大 パロマ瑞穂
  28 愛工大-中京大 名城大-愛院大 名城大
  29 愛院大-名城大 中京大-愛工大 パロマ瑞穂
10・5 中部大-中京大 名城大-東海学園大 豊 田
  6  東海学園大-名城大 中京大-中部大 豊 田
  12 愛工大-中部大 東海学園大-愛院大 パロマ瑞穂
  13 愛院大-東海学園大 中部大-愛工大 パロマ瑞穂

 (注)対戦カードの右は球場。開始時間は10時(開幕日は10時半)。1日3試合の日は9時

(2019年8月31日 中日新聞朝刊22面より)

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