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2010.04.01
激戦の春 愛知大学野球 春季リーグ3日開幕
3日に開幕する愛知大学野球春季リーグは、実力伯仲で激しさを増すばかり。どのチームにも栄冠を手にする可能性があり、紙一重の争いが、今年も始まる。
全国でも最大となる28校が5部に分かれてしのぎを削る。1部では昨年、春に中京大、秋には2部から昇格したばかりの愛大がそれぞれ10季ぶりの優勝を果たした。
最近では毎年のように現れるプロ注目の選手も、今年は4年生投手を中心にめじろ押し。全国大会での優勝が続く東海地区の高校からも多くの逸材が各大学に入部し、新たなヒーローの誕生も期待される。混戦を制して全国の舞台に挑むのはどのチームか。
■最上級生 逸材そろう
今年は特に、最上級生の投手に注目の素材がそろった。
中京大の上杉は最速147キロの威力ある直球と多彩な変化球をバランス良く投げ込む。1年春に4勝を挙げた後は右肩痛の影響もあり、思うような投球ができない時期が続いた。昨秋は防御率1.21と安定感を取り戻しつつある。
同じ本格派右腕として期待されるのが中部大の石川。184センチの長身から繰り出す角度のある直球を武器にする。課題は制球と精神面。下半身を強化すれば150キロ台も視野に入る。
右下手投げの名商大の水野も2人と並ぶ高い評価を受ける。2年春から先発、救援とフル回転を続け、体の強さは折り紙付き。140キロ近い直球とスライダーをコーナーに集める。
中日ドラゴンズの中原勇一・東海地区担当スカウトは「上杉は完成度が高く、このまま伸びてほしい投手。石川はまだ伸びしろが大きい。水野は本当にタフで球も申し分ない。3人ともに違う魅力がある」と評価する。愛工大主将の藤川外野手や復活が期待される愛院大の小川投手など、プロ、社会人が注目する選手はほかにも多い。
■実力伯仲 1部リーグ6チーム
【連覇目指す 愛大】
昇格したばかりの1部で優勝した昨秋は、3連盟の代表決定戦で敗れて明治神宮大会出場を逃した。八田監督は「何とか神宮に行きたい」と秋春連覇を目指す。
躍進の原動力となった祖父江−赤田の強力バッテリーが抜け、新戦力の台頭が待たれる。投手陣は秋に3勝を挙げた伊佐地と思い切りの良さが持ち味の永田が軸。捕手には1年生の松本道を抜てきする。大坪、野口の俊足1、2番がつくる好機を、4番の上野拓らが生かせるか。 (1949年創部、優勝10回)
【新たな出発 愛院大】
29年ぶりの復帰となる江崎総監督が3月に就任。不祥事の影響でチームの始動は遅れたが、「チームワークはいいので、学生らしい野球をしたい」。リーグ最多優勝を誇る伝統校。捕手の永嶋主将を中心に新たなチームづくりを進める。
経験のある浦野に加えて中根、江越ら試合をつくれる投手陣は計算が立つ。野手陣は昨年からの主力が多い。梶原や安井、長田ら、昨秋の明治神宮大会を経験した選手たちがさらに飛躍を期す。 (1953年創部、優勝39回)
【課題は打力 名商大】
昨秋は6勝のうち3勝がサヨナラ勝ちという粘りを武器に3位に。投手力は計算できるだけに、大阪・PL学園高を率いて甲子園で58勝を挙げた中村監督は「1割9分だった打率を上げたい」。課題は明確だ。
昨秋に3勝を挙げた右下手投げの水野が絶対的なエース。同じく3勝の上野も安定感がある。打線は小粒だが、長尾主将や秋田真らを中心にしぶとい攻撃をしたい。昨年4番を経験した荒木には、数少ない長距離砲として期待がかかる。 (1954年創部、優勝5回)
【打線に迫力 中京大】
昨年は春に優勝したが、秋には終盤に失速して4位。地力は高いだけに、村瀬監督は「目指すのは優勝だけ」と巻き返しを狙う。
1年から登板してきた上杉が最終学年を迎える。安定感のある投球が持ち味だけに、2番手以降を担う大西、柴田、藤本らの成長が鍵を握る。攻撃では、4番の野々垣主将を中心に、中軸に長打も見込める選手が多い。岩田、池田ら俊足の選手もそろい、迫力を増した打線となりそうだ。 (1956年創部、優勝33回)
【戦力増図る 中部大】
一昨年春の初優勝から徐々に順位を下げ、昨秋は5位で入れ替え戦へまわった。主力が多く抜けた今春は戦力を立て直すシーズン。善久監督は「競い合う中でレギュラーを育てたい」とチーム内の争いを促す。
エースに君臨した小笠原の穴を埋めるのは、2番手として実績を残してきた石川。左の平野、右の平塚も力を伸ばしている。攻撃は昨年ほどの長打は望めない。1番の寺村主将や中堅に起用される柴田らの機動力を得点につなげたい。 (1966年創部、優勝1回)
【走力生かす 愛工大】
3季ぶりに1部に上がった昨秋は10戦全敗で最下位。奥田監督は「頂点を目指すのはもちろんだが、まずは1戦勝つこと」と巻き返しを誓う。
安定感のある4年生の長瀬が投手陣を引っ張る。攻撃ではリーグナンバーワンとも評される俊足を誇る藤川主将や荻野、長谷川など、走れる選手を生かしたい。上位進出のためには新戦力の台頭も期待される。左の加藤、右の久野の両投手と、捕手の林の愛工大名電出の新人3人が期待される。 (1965年創部、優勝17回)
(2010年4月1日 中日新聞朝刊29面より)
全国でも最大となる28校が5部に分かれてしのぎを削る。1部では昨年、春に中京大、秋には2部から昇格したばかりの愛大がそれぞれ10季ぶりの優勝を果たした。
最近では毎年のように現れるプロ注目の選手も、今年は4年生投手を中心にめじろ押し。全国大会での優勝が続く東海地区の高校からも多くの逸材が各大学に入部し、新たなヒーローの誕生も期待される。混戦を制して全国の舞台に挑むのはどのチームか。
■最上級生 逸材そろう
今年は特に、最上級生の投手に注目の素材がそろった。
中京大の上杉は最速147キロの威力ある直球と多彩な変化球をバランス良く投げ込む。1年春に4勝を挙げた後は右肩痛の影響もあり、思うような投球ができない時期が続いた。昨秋は防御率1.21と安定感を取り戻しつつある。
同じ本格派右腕として期待されるのが中部大の石川。184センチの長身から繰り出す角度のある直球を武器にする。課題は制球と精神面。下半身を強化すれば150キロ台も視野に入る。
右下手投げの名商大の水野も2人と並ぶ高い評価を受ける。2年春から先発、救援とフル回転を続け、体の強さは折り紙付き。140キロ近い直球とスライダーをコーナーに集める。
中日ドラゴンズの中原勇一・東海地区担当スカウトは「上杉は完成度が高く、このまま伸びてほしい投手。石川はまだ伸びしろが大きい。水野は本当にタフで球も申し分ない。3人ともに違う魅力がある」と評価する。愛工大主将の藤川外野手や復活が期待される愛院大の小川投手など、プロ、社会人が注目する選手はほかにも多い。
■実力伯仲 1部リーグ6チーム
【連覇目指す 愛大】
昇格したばかりの1部で優勝した昨秋は、3連盟の代表決定戦で敗れて明治神宮大会出場を逃した。八田監督は「何とか神宮に行きたい」と秋春連覇を目指す。
躍進の原動力となった祖父江−赤田の強力バッテリーが抜け、新戦力の台頭が待たれる。投手陣は秋に3勝を挙げた伊佐地と思い切りの良さが持ち味の永田が軸。捕手には1年生の松本道を抜てきする。大坪、野口の俊足1、2番がつくる好機を、4番の上野拓らが生かせるか。 (1949年創部、優勝10回)
【新たな出発 愛院大】
29年ぶりの復帰となる江崎総監督が3月に就任。不祥事の影響でチームの始動は遅れたが、「チームワークはいいので、学生らしい野球をしたい」。リーグ最多優勝を誇る伝統校。捕手の永嶋主将を中心に新たなチームづくりを進める。
経験のある浦野に加えて中根、江越ら試合をつくれる投手陣は計算が立つ。野手陣は昨年からの主力が多い。梶原や安井、長田ら、昨秋の明治神宮大会を経験した選手たちがさらに飛躍を期す。 (1953年創部、優勝39回)
【課題は打力 名商大】
昨秋は6勝のうち3勝がサヨナラ勝ちという粘りを武器に3位に。投手力は計算できるだけに、大阪・PL学園高を率いて甲子園で58勝を挙げた中村監督は「1割9分だった打率を上げたい」。課題は明確だ。
昨秋に3勝を挙げた右下手投げの水野が絶対的なエース。同じく3勝の上野も安定感がある。打線は小粒だが、長尾主将や秋田真らを中心にしぶとい攻撃をしたい。昨年4番を経験した荒木には、数少ない長距離砲として期待がかかる。 (1954年創部、優勝5回)
【打線に迫力 中京大】
昨年は春に優勝したが、秋には終盤に失速して4位。地力は高いだけに、村瀬監督は「目指すのは優勝だけ」と巻き返しを狙う。
1年から登板してきた上杉が最終学年を迎える。安定感のある投球が持ち味だけに、2番手以降を担う大西、柴田、藤本らの成長が鍵を握る。攻撃では、4番の野々垣主将を中心に、中軸に長打も見込める選手が多い。岩田、池田ら俊足の選手もそろい、迫力を増した打線となりそうだ。 (1956年創部、優勝33回)
【戦力増図る 中部大】
一昨年春の初優勝から徐々に順位を下げ、昨秋は5位で入れ替え戦へまわった。主力が多く抜けた今春は戦力を立て直すシーズン。善久監督は「競い合う中でレギュラーを育てたい」とチーム内の争いを促す。
エースに君臨した小笠原の穴を埋めるのは、2番手として実績を残してきた石川。左の平野、右の平塚も力を伸ばしている。攻撃は昨年ほどの長打は望めない。1番の寺村主将や中堅に起用される柴田らの機動力を得点につなげたい。 (1966年創部、優勝1回)
【走力生かす 愛工大】
3季ぶりに1部に上がった昨秋は10戦全敗で最下位。奥田監督は「頂点を目指すのはもちろんだが、まずは1戦勝つこと」と巻き返しを誓う。
安定感のある4年生の長瀬が投手陣を引っ張る。攻撃ではリーグナンバーワンとも評される俊足を誇る藤川主将や荻野、長谷川など、走れる選手を生かしたい。上位進出のためには新戦力の台頭も期待される。左の加藤、右の久野の両投手と、捕手の林の愛工大名電出の新人3人が期待される。 (1965年創部、優勝17回)
(2010年4月1日 中日新聞朝刊29面より)