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学生活動  2019.02.08

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「触図」 触って楽しんで 県芸大院生・林さん 13日から個展 「視覚障害に関心を」

触図の個展を開く林さん(左)と、作品を触って鑑賞する森さん=名古屋市港区の名古屋盲人情報文化センターで

触図の個展を開く林さん(左)と、作品を触って鑑賞する森さん=名古屋市港区の名古屋盲人情報文化センターで

 指で触って鑑賞する絵「触図」の研究、創作に励む外国人留学生が県立芸術大大学院にいる。美術研究科美術専攻博士後期1年の林子翔(りんししょう)さん(27)=中国江西省出身、名古屋市名東区在住。目の見える人も見えない人も楽しめるデザインを模索し、約2年ぶりの個展を名古屋市で開く。「作品を触って、触図や視覚障害への関心を深めてほしい」(谷口大河)

 足踏みミシンのような製版機で銀色の亜鉛板に点を打つ。1つ、2つと点が連なり、線や模様を描く。完成した2枚1組の原版に厚紙を挟んでプレスすれば、かわいいタコや細長いタツノオトシゴの触図の出来上がり。でこぼこした輪郭や模様をなぞれば形や特徴がイメージできる。イラストも色鮮やかで、目でも楽しめる出展作だ。

 グラフィックデザインを学ぼうと来日。絵文字への関心が高じて「視覚障害者にも伝わるデザイン」を志すように。名古屋盲人情報文化センター(名古屋市港区)への相談をきっかけに2015年6月から2年近く、同センター点字出版部の触図制作を手伝った。16年秋には初の個展を開いた。

 触図は特徴の強調や細部の省略が重要だ。触図制作者として指導した小川真美子さん(51)=同市瑞穂区=は「林さんは視覚障害者の助言を参考にしながら、作るほどに分かりやすくなっていった」と熱心さを振り返る。視覚障害者で作品を校正した点字出版部の森幸久さん(43)は「個性的で触っていて楽しい。視覚障害者以外の方にも知ってほしい」と話す。

 林さんは「点字は国で異なるが、触図はイメージを共有でき、絵文字のように誰もが分かる。作品を作って広めたい」と意欲を語る。大学院では20年度まで触図を活用したデザインを研究し、触図をあしらった文房具の開発を進める。個展「手からウロコの触図展2(ローマ数字の2)」は13日から17日まで、名古屋市東区大幸南の市民ギャラリー矢田で。入場無料。会期中無休。

(2019年2月8日 中日新聞朝刊県内版より)

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