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お知らせ  2018.06.14

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高齢者 靴が見守る 金沢工大 白山麓で全国初試み センサーで行動確認

開発中のスマートシューズ。軽量化や耐水性の研究を進め、お年寄りが履きやすいデザインに改良される。

開発中のスマートシューズ。軽量化や耐水性の研究を進め、お年寄りが履きやすいデザインに改良される。

 金沢工業大(石川県野々市市)は2018年度、白山麓で1人暮らしするお年寄りらを遠隔地にいながら見守ることができるプロジェクトに乗り出す。お年寄りにセンサー付きの特殊な靴を履いてもらい、通信技術で行動範囲を確認。認知症による徘徊(はいかい)や寝たきりの予兆がないか検証する。歩き方にも目を配り、老化の具合や疲労度を個別にデータ化する全国初の試みだ。(前口憲幸)

 対象地域は同県白山市の旧5村(河内、吉野谷、鳥越、尾口、白峰)。佐藤進教授(健康科学)のグループが3カ年計画で進める。今春に金沢工大が開設した白山麓キャンパス(白山市瀬戸)が拠点となる。

 福井県工業技術センターと開発するのは「スマートシューズ」と呼ばれる靴。センサーを織り込んだ中敷きが位置情報をリアルタイムで発信する。夜中に歩き回ったり、日中も家に閉じこもったりする異変をチェック。遠くで暮らす家族に情報を届けることも可能だ。複数のセンサーがつま先やかかとの接地時間を解析。1分間の歩数や左右のバランスなどを算出する。加齢による衰えを個別に数値化し転倒予防に役立てる。

 研究対象の白山麓では極端な人口減少が続く。ここ10年で20%減り、全人口に占める65歳以上の割合が40%に達した。内陸部で交通の便が悪く、もともと人口減少が著しかったが、社会的な共同生活の維持が難しくなりつつある。

 厚生労働省の認知症対策の担当者は「お年寄りが地域で交流する機会は重要」と話し、引きこもりの予兆にも目を光らせるスマートシューズに関心を寄せる。はだしで出歩かない限り、外出時の状況が記録されるシステムについて「有効」と評価した。

 一方、日常生活の行動範囲をリアルタイムに把握するシステムだけにプライバシーの保護への配慮が必要。佐藤教授は、本人や家族の意思を尊重しながら、ビッグデータを解析していく考えで「場合によっては個人が特定されない形で情報開示することになる」との考えを示した。

(2018年6月14日 北陸中日新聞朝刊1面より)

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