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お知らせ 2018.05.29
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橋点検 北陸基準築く 今バラバラ…統一し修繕効率化へ 3県の大学教授ら研究
金沢大の鳥居和之特任教授(材料工学)らの研究チームが、北陸3県の橋の劣化具合を示す統一基準づくりを目指している。現状は、それぞれの自治体が独自に調査し、評価の仕方もバラバラだ。そのため、橋の修繕をする際、他の自治体の事例を参考にすることは難しい。統一基準ができれば参考事例が増え、効率のよい修繕計画を立てることができ、経費の削減にもつながるという。(山内晴信)
橋は、塩害によって鉄筋が腐食したり、通行する車両の衝撃や内部での化学反応によってコンクリートに亀裂が入ったりして劣化していく。劣化の具合を調べるのは、その橋を管理する国や都道府県、市町村だ。
調査できる職員のいる自治体もあるが、コンサルタント会社に依頼する自治体も少なくないという。研究チームに参加する金沢大の深田宰史教授(構造工学)は「劣化具合を診断する人によって、どうしても結果にばらつきが出る」と話す。さらに、評価レベルも4段階や5段階など、それぞれ独自に分類している。
現在、高度成長期に造った橋が建設から50年を迎えるなど、修繕の必要性が増している。だが、深田教授は「以前は、新しいものを造ることが重視され、劣化したものの補修にお金をかけるという考えはなかったようです」と話す。
2012年12月、中央自動車道笹子トンネルの天井パネル崩落事故を受け、13年に改正道路法が施行した。14年、国土交通省令で、自治体に橋やトンネルの5年に1度の点検が義務付けられた。研究チームはこの機会を利用し、石川、富山、福井3県の橋のデータを集約することにしている。
データを基に、大学教授や建設業者らが劣化具合を示す統一基準を作る予定。北陸3県のコンクリート診断士会にも参加を呼び掛けている。統一基準ができれば、比較できるデータが増えるため、凍結防止剤による塩害など北陸地方に多い劣化の傾向や、沿岸部と山間部の違いなどの分析がしやすくなる。
研究チームには、金沢大のほか、金沢工業大、富山県立大、福井大などの教授らが参加し、東北大などが開発したシステムでデータを管理する。この管理システムの改良や、診断に使える機械の開発なども進めて、将来的には全国統一の基準づくりにつながることを期待している。
(2018年5月29日 北陸中日新聞朝刊1面より)
橋は、塩害によって鉄筋が腐食したり、通行する車両の衝撃や内部での化学反応によってコンクリートに亀裂が入ったりして劣化していく。劣化の具合を調べるのは、その橋を管理する国や都道府県、市町村だ。
調査できる職員のいる自治体もあるが、コンサルタント会社に依頼する自治体も少なくないという。研究チームに参加する金沢大の深田宰史教授(構造工学)は「劣化具合を診断する人によって、どうしても結果にばらつきが出る」と話す。さらに、評価レベルも4段階や5段階など、それぞれ独自に分類している。
現在、高度成長期に造った橋が建設から50年を迎えるなど、修繕の必要性が増している。だが、深田教授は「以前は、新しいものを造ることが重視され、劣化したものの補修にお金をかけるという考えはなかったようです」と話す。
2012年12月、中央自動車道笹子トンネルの天井パネル崩落事故を受け、13年に改正道路法が施行した。14年、国土交通省令で、自治体に橋やトンネルの5年に1度の点検が義務付けられた。研究チームはこの機会を利用し、石川、富山、福井3県の橋のデータを集約することにしている。
データを基に、大学教授や建設業者らが劣化具合を示す統一基準を作る予定。北陸3県のコンクリート診断士会にも参加を呼び掛けている。統一基準ができれば、比較できるデータが増えるため、凍結防止剤による塩害など北陸地方に多い劣化の傾向や、沿岸部と山間部の違いなどの分析がしやすくなる。
研究チームには、金沢大のほか、金沢工業大、富山県立大、福井大などの教授らが参加し、東北大などが開発したシステムでデータを管理する。この管理システムの改良や、診断に使える機械の開発なども進めて、将来的には全国統一の基準づくりにつながることを期待している。
(2018年5月29日 北陸中日新聞朝刊1面より)