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2017.11.24

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即興 北斎大だるま 200年ぶり 120畳、記録通り再現 名古屋・西別院

 今から200年前の1817(文化14)年秋、名古屋に長期滞在していた浮世絵師の葛飾北斎が120畳大の紙に巨大な達磨(だるま)大師の半身像を即興で描いた催しが23日、当時の会場と同じ本願寺名古屋別院(西別院、名古屋市中区)で再現された。

 来年、開創300年を迎える西別院の記念事業。尾張藩士、高力種信(こうりきたねのぶ)の記録によると、雨具の材料にもなった丈夫な和紙を約1800枚貼り合わせて用紙を準備し、米俵5俵分のわらの大筆やシュロほうきなどで大だるま絵が描かれた。西別院の依頼を受けた愛知県立芸術大の研究で、当時とほぼ同じ材料、手法で再現できることが分かった。

 試作を重ね、迎えた本番。前夜からの雨も早朝にやみ、関係者総出で乾かした屋外の特設舞台に縦約18メートル、横約11メートルの紙が15人がかりで広げられた。そこに同大で文化財絵画の模写を手掛ける北斎役の藤田哲也さん(39)、助手役の金子洋平さん(38)、加藤清香(さやか)さん(32)の3人の日本画家が紋付きはかま姿で登場。大学院生4人も手伝い、記録通り、眉間から鼻、目と順に描き進めた。

 午前9時半すぎから約2時間15分で完成。乾かした後、午後3時すぎに本堂の屋根まで作品をつり上げ、200年前と同じように披露された。朝から見守った観衆から大きな拍手がわき、絵が向く東の空にはくっきりと虹がかかった。一発勝負の大仕事を終えた藤田さんは「掲揚され、風になびく大だるま絵の迫力は自分でも驚くほど。北斎の才能をあらためて実感した」と話した。

 作品は当面、西別院で保管され、公開の予定はないという。

(2017年11月24日 中日新聞朝刊県内版より)

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