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2017.10.30
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全日本大学女子駅伝 名城大12年ぶり日本一 加世田 18秒差逆転
第35回全日本大学女子駅伝対校選手権(6区間・38キロ)が29日、仙台市内で行われ、名城大(愛知)が2時間5分15秒で12年ぶり2度目の優勝を飾った。エース区間の5区を走った1年生の加世田梨花(18)が18秒差を逆転してトップに立ち、頂点に導いた。前回王者の松山大は1区での出遅れが響き13位だった。
■一気に引き離す 148センチの“小さな巨人”スーパー1年生躍動!!
台風の影響で降りしきる雨の中、身長148センチの加世田が軽快なピッチを刻んでいく。勝負が懸かった5区。トップから18秒差でスタートすると、「必ず私でトップに立つ。焦らずじわじわ詰めよう」。3キロ過ぎに区間記録を持つ先頭の立命大・太田に並びかけ、駆け引きの余裕すら与えず一気に引き離した。
「後ろは振り返らないと決めていた。自分のピッチを刻むことだけを考えた」。台風もライバルも関係ない。強心臓の1年生が2位に16秒差をつけてたすきをつなぐと、アンカーの玉城は区間賞の走りで後続を突き放し、ゴールテープを切った。
12年ぶりの頂点を引き寄せた加世田の爆走。千葉・成田高ではジュニアの世界大会で活躍し、卒業時には実業団からも引く手あまただったが、「大学の4年間で心身ともに成長したい」と名城大を選んだ。
その速さは上級生と比べても別格。米田勝朗監督(49)は「ジョギングからして速い。他の選手が40分かかる距離を30分で走ってしまう」と驚く。5区での起用にも「30秒差なら逆転できると思った」と迷いはなかった。
区間賞こそ玉城だけながら1区の青木、2区の徳永、加世田の3人が区間2位の好走。全員が区間5位以内で総合力の高さを示した。米田監督は「大砲が一人いるだけで、安心して走ることができる」と加世田効果を口にする。
ぶっちぎりの優勝を果たしたメンバー6人のうち、3年生以下が5人。加世田は「来年からは区間賞、そして連覇を続けていきます」と力強い。名城大の新たな挑戦が始まる。 (木村尚公)
■米田監督男泣き 「思い描いたチーム」
アンカーの玉城がゴールする前から、米田監督は男泣きしていた。「2度目の優勝を期待されながら果たせなかった選手たちの姿が、脳裏をよぎった」。12年間の雌伏のときは長かった。
同じ優勝でも中身は前回と全く違う。米田監督は「以前は学生の意見を聞かず、スパルタのような指導をしていた」と振り返る。体重を毎日測るなど、徹底した管理指導で果たしたのが2005年の優勝だった。
その後、「世界に通用する選手を育てるためには選手の自主性を尊重しなければ」と指導法を改めた。結果的に低迷期も招いたが「我慢しなければ」と自らに言い聞かせた。
米田監督が望んだ「自主性」は根付きつつある。選手は午前5時前には起床し、朝練習の準備を始める。主将の赤坂は「走るためにはどういう体であるべきか、各自が考えている」と話す。
レース後は、教え子たちの手で胴上げされた。「思い描いたチームになった」と笑顔で達成感に浸った。
(2017年10月30日 中日スポーツ6面より)
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・ 名城大学
■一気に引き離す 148センチの“小さな巨人”スーパー1年生躍動!!
台風の影響で降りしきる雨の中、身長148センチの加世田が軽快なピッチを刻んでいく。勝負が懸かった5区。トップから18秒差でスタートすると、「必ず私でトップに立つ。焦らずじわじわ詰めよう」。3キロ過ぎに区間記録を持つ先頭の立命大・太田に並びかけ、駆け引きの余裕すら与えず一気に引き離した。
「後ろは振り返らないと決めていた。自分のピッチを刻むことだけを考えた」。台風もライバルも関係ない。強心臓の1年生が2位に16秒差をつけてたすきをつなぐと、アンカーの玉城は区間賞の走りで後続を突き放し、ゴールテープを切った。
12年ぶりの頂点を引き寄せた加世田の爆走。千葉・成田高ではジュニアの世界大会で活躍し、卒業時には実業団からも引く手あまただったが、「大学の4年間で心身ともに成長したい」と名城大を選んだ。
その速さは上級生と比べても別格。米田勝朗監督(49)は「ジョギングからして速い。他の選手が40分かかる距離を30分で走ってしまう」と驚く。5区での起用にも「30秒差なら逆転できると思った」と迷いはなかった。
区間賞こそ玉城だけながら1区の青木、2区の徳永、加世田の3人が区間2位の好走。全員が区間5位以内で総合力の高さを示した。米田監督は「大砲が一人いるだけで、安心して走ることができる」と加世田効果を口にする。
ぶっちぎりの優勝を果たしたメンバー6人のうち、3年生以下が5人。加世田は「来年からは区間賞、そして連覇を続けていきます」と力強い。名城大の新たな挑戦が始まる。 (木村尚公)
■米田監督男泣き 「思い描いたチーム」
アンカーの玉城がゴールする前から、米田監督は男泣きしていた。「2度目の優勝を期待されながら果たせなかった選手たちの姿が、脳裏をよぎった」。12年間の雌伏のときは長かった。
同じ優勝でも中身は前回と全く違う。米田監督は「以前は学生の意見を聞かず、スパルタのような指導をしていた」と振り返る。体重を毎日測るなど、徹底した管理指導で果たしたのが2005年の優勝だった。
その後、「世界に通用する選手を育てるためには選手の自主性を尊重しなければ」と指導法を改めた。結果的に低迷期も招いたが「我慢しなければ」と自らに言い聞かせた。
米田監督が望んだ「自主性」は根付きつつある。選手は午前5時前には起床し、朝練習の準備を始める。主将の赤坂は「走るためにはどういう体であるべきか、各自が考えている」と話す。
レース後は、教え子たちの手で胴上げされた。「思い描いたチームになった」と笑顔で達成感に浸った。
(2017年10月30日 中日スポーツ6面より)
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