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中日新聞掲載の大学記事

2017.04.04

博識大学生 公認ガイド改訂 園長も「参考」 東山AtoZ本

■通い詰め撮影 密輸の現状も警鐘

 東山動植物園(名古屋市千種区)が3月で開園80周年を迎えたのに合わせ、園の公認ガイドブックが5年ぶりに改訂された。執筆者の1人は「大の動物園好き」を自任する名城大農学部3年の神山拓海さん(20)=三重県朝日町縄生(なお)=だ。動物好きが高じて身についた豊富な知識を「動物の面白さに触れてほしい」と1冊の本に詰め込んだ。 (河北彬光)

 派手な顔立ちのマンドリルに、ユーカリを頬張るコアラ、まるで植物へ水やりするように鼻から水を出すアフリカゾウ。表情豊かな動物の写真が、ガイドブックを飾る。どれも神山さんが園へ通い詰めて撮った自慢の1枚だ。

 新たなガイド本は、市民でつくるNPO法人「東山動物園くらぶ」が前回分を改訂する形で作った。

 出版準備が始まった昨年春、学生スタッフとしてNPOに参加する神山さんは「自分も本作りに関わりたい」と名乗りを上げた。動物の専門知識を要するだけに、NPO理事で京都大霊長類研究所(愛知県犬山市)研究員の桜庭陽子さん(30)の助言を受けながら二人三脚で取材を進めた。

 前回より10種類ほど多い55種類の動物を取り上げ、生態や体の特徴、東山にいる個体のプロフィルを紹介する。取材や国内外の最新の論文に基づき、確かな情報をまとめた神山さんは「動物の意外な一面が発見できる本を目指した」と話す。

 ライオンのページでは、タンザニアの群れは雌が狩りをする一方、南アフリカでは雄と雌が協力するなど地域差があることをコラムに執筆。密輸された絶滅危惧種のインコやイグアナをやむなく東山が引き取っている現状にも触れ、社会問題として警鐘を鳴らす。

 幼いころから東山へ通う神山さんはNPO主催の「東山動物園検定」で2012年から4年連続でトップの成績を収め、今では問題作成者も務めるほど。「将来は動物園に関わる仕事に就きたい」という。ガイドを監修した動物園の黒辺雅実園長は「職員すら知らない情報まで網羅され、私も講演前に参考で見返します」と話す。

 公認ガイドは「ZOO(ず〜)っといっしょ2」でB5変型144ページ。前回より一回り大きくなってページ数も増え、園の飲食、土産店情報も盛り込んだ。全国の書店や中日新聞販売店で購入できる。税込み1200円。問い合わせは、出版元の中日新聞社出版部=電052(221)1714=へ。

(2017年4月4日 中日新聞夕刊11面より)
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