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中日新聞掲載の大学記事

2017.01.13

新人監督映画「若手刺激を」 あす公開 名学芸大教授ら製作

 映画プロデューサーで、名古屋学芸大(日進市)教授の仙頭武則さん(55)が関わった映画「はるねこ」が、14〜27日、千種区の名古屋シネマテークで上映される。埼玉県出身の新人監督の作品で、今月開かれるロッテルダム国際映画祭では招待作品として上映される。仙頭さんは「映画作りを目指す名古屋の若手の刺激になってほしい」と話す。

 仙頭さんは、カンヌ国際映画祭で新人監督賞に輝いた河瀬直美監督の「萌(もえ)の朱雀(すざく)」や、同じく国際批評家連盟賞などを受賞した青山真治監督の「ユリイカ」をプロデュースした。

 今回の作品は、仙頭さんと青山さんが共同出資し、プロデュースした。監督は多摩美術大で青山さんの指導を受けた甫木元(ほきもと)空さん(24)。「生と死」や「戦争」をテーマにした甫木元さんの脚本に2人がほれ込んだ。

 森の中の喫茶店を舞台にした幻想的な作品で、舞踏家の田中泯(みん)さんや、昨年亡くなったシンガー・ソングライターで女優のりりィさんらが出演する。

 甫木元さんはミュージカルの演出家だった父を亡くした後に脚本を書いたといい、「死者はどこかをさまよっているかもしれないと思い、森という装置の中で、死者と生きている者を平等に描いた」と話す。

 「アイデンティティーを問う意味でも、新人監督は必ず地元で撮影させる」という仙頭さんの方針で、映画は埼玉県越生(おごせ)町の山中で撮影された。甫木元さんは「役者やカメラマンが入ると、いつもの場所が不思議な空間になった」と振り返る。

 名古屋での上映を前に、仙頭さんと甫木元さんの講演が名古屋学芸大であった。仙頭さんは「よく『映画監督になるには、どうすればいいか』と聞かれるが、映画を作れば監督になれる。自分の作りたいものを作っていくと、物事が転がっていく。この大学から彼のような存在が出てほしい」と学生たちにハッパを掛けた。

 (問)名古屋シネマテーク=052(733)3959

 (森若奈)

(2017年1月13日 中日新聞朝刊市民版より)
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