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中日新聞掲載の大学記事

2017.01.05

レーザー研究 名城大加速 赤崎さん指揮 3月に拠点 青色LED技術応用 低価格追求

 普及すれば、すべての電力消費量の1割を削減でき、「究極の光デバイス」として注目されるレーザーダイオード(LD)などを開発するため、名城大(名古屋市天白区)は3月、学内に光デバイス研究センターを新設する。2014年にノーベル物理学賞を受賞した赤崎勇終身教授(87)を名誉センター長に迎え「世界を変える」研究に挑む。(坪井千隼)

 光デバイスは光関連の電子部品の総称。赤崎終身教授はその一種の青色発光ダイオード(LED)開発でノーベル賞を受賞したが、LEDを超える次世代型光デバイスとして注目されているのがLDだ。エネルギー効率が大きく向上するうえ、照明が中心のLEDに比べ、医療用レーザーや情報通信などさまざまな用途に利用できるという。

 すでに、医療用など一部で実用化されているが、効率やコスト面で期待される性能を発揮できておらず、普及は一部にとどまっているのが実情。名城大は青色LED開発につながった窒化ガリウムの結晶化技術などを応用することで、広く普及可能なLD開発を目指す。

 名城大によると、研究センターは天白キャンパス14号館(3階建て、延べ床面積1500平方メートル)を改装して開設。1億2000万円をかけて新型の結晶をつくる装置を導入する。クリーンルームや研究室、実験室を設けるほか、民間企業との産学連携拠点も入る。

 研究開発の進行状況や、成果のPR活動も展開。青色LEDやLDについて分かりやすく紹介するモニュメントの設置などを検討している。年1回、光デバイス研究に関連したシンポジウムの開催や、小中学校、高校での出前授業、模擬実験も企画したいという。

 赤崎終身教授は「省エネだけじゃなく、医療や工業加工、水の浄化などLDの応用範囲は非常に広く、挙げればきりがない。開発できれば、社会が大きく変わるだろう」と話した。

■レーザーダイオード

電気のエネルギーを光に変換するLEDと違い、光源から出た光を増幅、制御してレーザー光にする。光が散乱せず、まっすぐ進むことなどからエネルギーロスが少ない。照明器具としてみると、同じ電力でLED照明は蛍光灯の2.5倍の明るさだが、LDは5倍。方向などをコントロールしやすいため精密さが必要とされる医療機器や、工業加工装置など利用できる分野が広い。

(2017年1月5日 中日新聞朝刊1面より)
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