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2016.09.03
チーム浮上 この手で 愛知大学野球秋季リーグ きょう開幕
愛知大学野球秋季リーグ(中日新聞社後援)は3日、名古屋市のパロマ瑞穂球場で開幕し、8週にわたって優勝を争う。1部は中京大が3季連続で頂点に立てるかどうかが焦点。ストップをかけたい他校は炎天下で実戦練習を重ねてきた。その中で、今春にデビューし、チームの命運を握る選手に成長した愛産大の今村勇刀投手(2年、福岡・九州国際大付)、日福大の樫山瑠内野手(1年、三重・紀南)、中部大の林俊輔外野手(2年、愛知・中部大春日丘)にスポットを当てた。
■日福大 樫山瑠(りゅう)内野手 積極性で安打量産
どんなタイプの投手も苦にしない。打率3割6分2厘で7位。1年生の春だけが対象となる新人賞獲得に異論を挟む者はいなかった。「追い込まれる前に積極的に打っていった。秋もこの姿勢は崩さない」。マークされるのは必至だが、好球必打で上級生の投手を打ち砕く。
開幕週の名城大1回戦こそ出番はなかったが、2回戦で初出場。以後は3、5番と中軸を担ってきた。「後ろにいい打者が控えているので、常につなぐ意識で打席に入った」。コンパクトなスイングで左右に好打を飛ばした。
高校生だった昨夏までは金属バットを使用。最後の試合を終えると、大学入学後に備えて後輩に交じりながら木のバットで練習してきた。「金属も木も芯で捉えることは一緒。戸惑いはなかった」と17安打を積み重ねた要因を明かす。
ただ春は相手投手がほとんど内角に投げてこなかった。今秋は厳しい内角攻めを覚悟。「体を開かず、少し詰まってもいいからセンター方向に打ち返す」と対策に抜かりはない。
出場した全11試合で安打を放った。連続試合安打のリーグ記録は25。「秋の目標は20安打。1試合で最低1本は打ちたい」。既に大記録が視野に入っている。
■愛産大 今村勇刀投手 体幹鍛え制球磨く
右横手から丁寧に両コーナーへ投げ分ける。制球が安定しているので大崩れしない。春のリーグ戦は6試合に登板して3勝2敗。防御率1.80で最優秀防御率賞を獲得した。2部にいた昨年はリリーフ専門。「先発は試合をつくるのが役目」と意識を集中し、チームの期待に応えた。
カーブ、スライダー、ツーシーム、チェンジアップを巧みに操る。右肩甲骨周辺が炎症を起こし、リーグ戦終了後の約1カ月投球練習を控えた。8月に入ると本格的な投球を再開。右肩の不安が消え、「投げられない間、体幹と下半身をしっかり鍛えられた」とプラスに捉えている。
1部で初めて登板した試合は緊張と不安で押しつぶされそうになった。第1週の中京大との2回戦。9回の3失点が響き、0−4で敗れたが逆に勇気が湧いてきた。「狙ったところに投げることができれば1部でも簡単には打たれない」。確信に変わったのは第4週の名城大との3回戦だった。延長10回を6安打で完封。「大きな転機になった」と振り返る。
今季は各週1回戦での先発が予想され、他校のエースとの投げ合いとなる。「相手チームのマークも厳しくなると思うが、ボールを低めに集めれば大丈夫」。自慢の制球力にさらに磨きがかかった。
■中部大 林俊輔外野手 球種を選ばず巧打
低く、速い打球が内野手の間を抜けていく。春の打率は4割2分1厘。惜しくも打撃賞(首位打者)は逃したが、堂々の3位だった。「打つしか取りえがないので、秋もバットでチームに貢献したい」と開幕に照準を合わせて練習に取り組んできた。
構えた位置から最短距離でスムーズにバットが出る。どんな球種にもしっかり対応。「僕には本塁打は必要がない。いつもライナーを打つことを心掛けている」。16安打のうち長打は二塁打、三塁打が1本ずつ。打撃の特徴を数字が如実に物語る。
昨年はベンチ入りもできなかったが、非凡なセンスと真摯(しんし)に野球に取り組む姿勢が認められた。チーム初戦となる第2週の名城大1回戦で「6番・指名打者」として初出場。いきなり3打数2安打と結果を残した。「デビュー戦は緊張したが、ヒットが打てて落ち着いた。次の試合から平常心でプレーできるようになった」と安打を量産。打順も主に5番を任されるようになった。
最終週の最終3回戦まで打撃賞の可能性を残していた。「いつかタイトルを取れたらいいが、数字はあまり意識しない。目の前の一打席一打席に集中していきたい」。春と同じように初球から積極的に振っていく。
■1部の展望 中京大 厚い投手陣・名城大 悔しさバネ
1部の優勝争いは中京大と名城大が軸となりそう。今春は第7週の直接対決を中京大が2勝1敗で制したが力の差はほとんどない。強力打線の中部大も絡んできそう。
3季連続優勝を狙う中京大の春のチーム打率2割1分9厘はリーグ6位だった。ただ好機に一気に畳み掛ける勝負強さがある。昨秋は3本塁打で、春はけがの影響で3打席しか立てなかった今津が開幕戦から先発出場できるのは心強い。投手陣は春の最優秀選手賞(MVP)の若林、古田、山中、大内ら層が厚い。
名城大は「あと1勝」で優勝を逃した悔しさをばねに仕上げてきた。春のチーム防御率2.09はリーグ1位、チーム打率3割1分7厘はリーグ2位と投打のバランスがいい。栗林、東、浅川の投手陣は安定。打線は首位打者吉浦が出塁し、坪井、山口、高木の中軸がかえすパターンが確立されている。
中部大の春のチーム打率3割1分8厘、59得点はリーグトップ。山崎健、纐纈、林らの打線はどこからでも得点できる。春はけがで苦しんだ細川が加わり、さらにパワーアップ。課題はチーム防御率3.93の投手陣で、リーグ最多タイの4勝を挙げた今井が左肘痛で出遅れる。村松、広嶋ら4年生が奮起したい。
愛産大は春、6季ぶりに昇格。今秋は序盤から地に足を付けて戦える。中軸を担う瀬崎、黒野がけがで苦しんだが開幕に間に合うのは大きい。投手陣はエースに成長した今村を宮里、古田が支える。
日福大は前元、千代の2枚看板に加えて八幡、鷹羽が成長。計算できる投手陣になった。打線は長打力はないが安地ら俊足の選手がかき回し、小林、阪本、樫山らにつなげたい。
2季ぶりに昇格した愛院大は堅い守りで今春の2部、入れ替え戦を制した。軸となるのはエース渡辺。右横手からの投球はタイミングが取りづらい。打線は植村、荒木、萩原に長打力がある。
<愛知大学野球秋季リーグ日程>
9月 3日 中京大−愛院大 愛産大−日福大 (瑞穂)
9月 4日 日福大−愛産大 愛院大−中京大 (瑞穂)
9月10日 名城大−日福大 中部大−愛産大 (瑞穂)
9月11日 愛産大−中部大 日福大−名城大 (瑞穂)
9月17日 中京大−中部大 名城大−愛院大 (瑞穂)
9月18日 愛院大−名城大 中部大−中京大 (豊田)
9月24日 中京大−日福大 愛産大−愛院大 (豊田)
9月25日 愛院大−愛産大 日福大−中京大 (豊田)
10月 1日 名城大−愛産大 中部大−日福大 (春日井)
10月 2日 日福大−中部大 愛産大−名城大 (名城大)
10月 8日 中京大−名城大 中部大−愛院大 (愛院大)
10月 9日 愛院大−中部大 名城大−中京大 (名城大)
10月15日 中京大−愛産大 日福大−愛院大 (瑞穂)
10月16日 愛院大−日福大 愛産大−中京大 (瑞穂)
10月22日 名城大−中部大 (瑞穂)
10月23日 中部大−名城大 (瑞穂)
(注)対戦カードの右は球場。開始時間は2試合の日が10時(開幕日のみ10時半)、1試合の日が13時
【2部】
<A>東海学園大、愛知東邦大、名古屋経済大、名古屋学院大、同朋大、名古屋産業大
<B>愛知大、愛知工業大、愛知学泉大、名古屋商科大、至学館大、名古屋大
【3部】
<A>星城大、南山大、名古屋工業大、大同大、名古屋外国語大
<B>愛知淑徳大、愛知教育大、名古屋市立大、豊橋技術科学大
(2016年9月3日 中日新聞朝刊23面より)
■日福大 樫山瑠(りゅう)内野手 積極性で安打量産
どんなタイプの投手も苦にしない。打率3割6分2厘で7位。1年生の春だけが対象となる新人賞獲得に異論を挟む者はいなかった。「追い込まれる前に積極的に打っていった。秋もこの姿勢は崩さない」。マークされるのは必至だが、好球必打で上級生の投手を打ち砕く。
開幕週の名城大1回戦こそ出番はなかったが、2回戦で初出場。以後は3、5番と中軸を担ってきた。「後ろにいい打者が控えているので、常につなぐ意識で打席に入った」。コンパクトなスイングで左右に好打を飛ばした。
高校生だった昨夏までは金属バットを使用。最後の試合を終えると、大学入学後に備えて後輩に交じりながら木のバットで練習してきた。「金属も木も芯で捉えることは一緒。戸惑いはなかった」と17安打を積み重ねた要因を明かす。
ただ春は相手投手がほとんど内角に投げてこなかった。今秋は厳しい内角攻めを覚悟。「体を開かず、少し詰まってもいいからセンター方向に打ち返す」と対策に抜かりはない。
出場した全11試合で安打を放った。連続試合安打のリーグ記録は25。「秋の目標は20安打。1試合で最低1本は打ちたい」。既に大記録が視野に入っている。
■愛産大 今村勇刀投手 体幹鍛え制球磨く
右横手から丁寧に両コーナーへ投げ分ける。制球が安定しているので大崩れしない。春のリーグ戦は6試合に登板して3勝2敗。防御率1.80で最優秀防御率賞を獲得した。2部にいた昨年はリリーフ専門。「先発は試合をつくるのが役目」と意識を集中し、チームの期待に応えた。
カーブ、スライダー、ツーシーム、チェンジアップを巧みに操る。右肩甲骨周辺が炎症を起こし、リーグ戦終了後の約1カ月投球練習を控えた。8月に入ると本格的な投球を再開。右肩の不安が消え、「投げられない間、体幹と下半身をしっかり鍛えられた」とプラスに捉えている。
1部で初めて登板した試合は緊張と不安で押しつぶされそうになった。第1週の中京大との2回戦。9回の3失点が響き、0−4で敗れたが逆に勇気が湧いてきた。「狙ったところに投げることができれば1部でも簡単には打たれない」。確信に変わったのは第4週の名城大との3回戦だった。延長10回を6安打で完封。「大きな転機になった」と振り返る。
今季は各週1回戦での先発が予想され、他校のエースとの投げ合いとなる。「相手チームのマークも厳しくなると思うが、ボールを低めに集めれば大丈夫」。自慢の制球力にさらに磨きがかかった。
■中部大 林俊輔外野手 球種を選ばず巧打
低く、速い打球が内野手の間を抜けていく。春の打率は4割2分1厘。惜しくも打撃賞(首位打者)は逃したが、堂々の3位だった。「打つしか取りえがないので、秋もバットでチームに貢献したい」と開幕に照準を合わせて練習に取り組んできた。
構えた位置から最短距離でスムーズにバットが出る。どんな球種にもしっかり対応。「僕には本塁打は必要がない。いつもライナーを打つことを心掛けている」。16安打のうち長打は二塁打、三塁打が1本ずつ。打撃の特徴を数字が如実に物語る。
昨年はベンチ入りもできなかったが、非凡なセンスと真摯(しんし)に野球に取り組む姿勢が認められた。チーム初戦となる第2週の名城大1回戦で「6番・指名打者」として初出場。いきなり3打数2安打と結果を残した。「デビュー戦は緊張したが、ヒットが打てて落ち着いた。次の試合から平常心でプレーできるようになった」と安打を量産。打順も主に5番を任されるようになった。
最終週の最終3回戦まで打撃賞の可能性を残していた。「いつかタイトルを取れたらいいが、数字はあまり意識しない。目の前の一打席一打席に集中していきたい」。春と同じように初球から積極的に振っていく。
■1部の展望 中京大 厚い投手陣・名城大 悔しさバネ
1部の優勝争いは中京大と名城大が軸となりそう。今春は第7週の直接対決を中京大が2勝1敗で制したが力の差はほとんどない。強力打線の中部大も絡んできそう。
3季連続優勝を狙う中京大の春のチーム打率2割1分9厘はリーグ6位だった。ただ好機に一気に畳み掛ける勝負強さがある。昨秋は3本塁打で、春はけがの影響で3打席しか立てなかった今津が開幕戦から先発出場できるのは心強い。投手陣は春の最優秀選手賞(MVP)の若林、古田、山中、大内ら層が厚い。
名城大は「あと1勝」で優勝を逃した悔しさをばねに仕上げてきた。春のチーム防御率2.09はリーグ1位、チーム打率3割1分7厘はリーグ2位と投打のバランスがいい。栗林、東、浅川の投手陣は安定。打線は首位打者吉浦が出塁し、坪井、山口、高木の中軸がかえすパターンが確立されている。
中部大の春のチーム打率3割1分8厘、59得点はリーグトップ。山崎健、纐纈、林らの打線はどこからでも得点できる。春はけがで苦しんだ細川が加わり、さらにパワーアップ。課題はチーム防御率3.93の投手陣で、リーグ最多タイの4勝を挙げた今井が左肘痛で出遅れる。村松、広嶋ら4年生が奮起したい。
愛産大は春、6季ぶりに昇格。今秋は序盤から地に足を付けて戦える。中軸を担う瀬崎、黒野がけがで苦しんだが開幕に間に合うのは大きい。投手陣はエースに成長した今村を宮里、古田が支える。
日福大は前元、千代の2枚看板に加えて八幡、鷹羽が成長。計算できる投手陣になった。打線は長打力はないが安地ら俊足の選手がかき回し、小林、阪本、樫山らにつなげたい。
2季ぶりに昇格した愛院大は堅い守りで今春の2部、入れ替え戦を制した。軸となるのはエース渡辺。右横手からの投球はタイミングが取りづらい。打線は植村、荒木、萩原に長打力がある。
<愛知大学野球秋季リーグ日程>
9月 3日 中京大−愛院大 愛産大−日福大 (瑞穂)
9月 4日 日福大−愛産大 愛院大−中京大 (瑞穂)
9月10日 名城大−日福大 中部大−愛産大 (瑞穂)
9月11日 愛産大−中部大 日福大−名城大 (瑞穂)
9月17日 中京大−中部大 名城大−愛院大 (瑞穂)
9月18日 愛院大−名城大 中部大−中京大 (豊田)
9月24日 中京大−日福大 愛産大−愛院大 (豊田)
9月25日 愛院大−愛産大 日福大−中京大 (豊田)
10月 1日 名城大−愛産大 中部大−日福大 (春日井)
10月 2日 日福大−中部大 愛産大−名城大 (名城大)
10月 8日 中京大−名城大 中部大−愛院大 (愛院大)
10月 9日 愛院大−中部大 名城大−中京大 (名城大)
10月15日 中京大−愛産大 日福大−愛院大 (瑞穂)
10月16日 愛院大−日福大 愛産大−中京大 (瑞穂)
10月22日 名城大−中部大 (瑞穂)
10月23日 中部大−名城大 (瑞穂)
(注)対戦カードの右は球場。開始時間は2試合の日が10時(開幕日のみ10時半)、1試合の日が13時
【2部】
<A>東海学園大、愛知東邦大、名古屋経済大、名古屋学院大、同朋大、名古屋産業大
<B>愛知大、愛知工業大、愛知学泉大、名古屋商科大、至学館大、名古屋大
【3部】
<A>星城大、南山大、名古屋工業大、大同大、名古屋外国語大
<B>愛知淑徳大、愛知教育大、名古屋市立大、豊橋技術科学大
(2016年9月3日 中日新聞朝刊23面より)