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2016.05.31
見守るバス停 優しい発想力 金沢工大生 実用目指す
金沢工業大(石川県野々市市)の学生が、位置情報やICTの機能を備えた「賢いバス停」を考案、開発した。道案内や災害時の避難誘導のほか、子どもの「見守り」をするのが特徴。来月24日に同大で開かれるイベントで地元企業や自治体関係者に披露する。将来は市のコミュニティバスでの活用を目指している。(上田融)
バス停の名称は「のっティ型バス停」。市のゆるキャラ「のっティ」を模したデザインで、高さ約170センチ、アルミ板の中央部分にタブレット端末が埋め込まれている。製作したのは情報工学科の袖(そで)美樹子准教授の指導を受けた学生など二十数人のプロジェクトチーム。
子どもの見守りには顔の認証機能を活用。あらかじめ顔を登録しておけば、バス停が子どもに「こんにちは」などと呼び掛け、会話をしながら本人と認識。子どもが事前に決められた合言葉を返すと、情報を保護者のスマートフォンなどに送る。この機能を使えば、子どもが何時ごろバス停を通ったのかなどを把握できる。将来は、話しかけなくても自動認識できる仕組みを目指す。
見守り機能を導入したのは、全国で増加傾向にある行方不明者を減らし、犯罪の抑止につなげたいという思いから。見守り用のアプリを開発した外松(とまつ)俊尚さん(22)=情報工学科4年=は「野々市はバス停がコンビニより多く、既存の防犯カメラより有効な手段になると考えた」と話す。
付近の道順を尋ねると音声で案内してくれる。災害時にはイラストと地図で、外国人にも分かるよう複数の言語で避難指示を表示する。現在は英語だけで、今後増やす。会話の言語処理を担当した油野凌真さん(22)=同=は昨年秋の関東・東北豪雨で、防災無線を理解できない外国人が逃げ遅れたことを知り、多言語化に取り組んだ。「バス停ならば身近にあり、情報を得て逃げてもらえるのではないか」。2人に共通するのは社会貢献への思いだ。
バス停はメンバーの手作りで、経費は人件費を除いて10万円かかったという。袖氏は「既存のバス停は学生にとってそれほど利便性が高くない。より有効に使える方策を検討する中でアイデアが生まれた」と説明。実際にバス停に配置して実験できないか現在、市側と調整している。
実物が披露されるのは、総務省北陸総合通信局(金沢市)などが主催する「トライアルコンクールマッチングイベント」。北陸3県の大学や専門学校が開発した、位置情報とICTを組み合わせた優秀作品が出品される。企業や行政との個別相談も実施予定で、通信局は実用化への動きを期待している。問い合わせは、同局=電076(233)4430=へ。
(2016年5月31日 北陸中日新聞朝刊富山版より)
バス停の名称は「のっティ型バス停」。市のゆるキャラ「のっティ」を模したデザインで、高さ約170センチ、アルミ板の中央部分にタブレット端末が埋め込まれている。製作したのは情報工学科の袖(そで)美樹子准教授の指導を受けた学生など二十数人のプロジェクトチーム。
子どもの見守りには顔の認証機能を活用。あらかじめ顔を登録しておけば、バス停が子どもに「こんにちは」などと呼び掛け、会話をしながら本人と認識。子どもが事前に決められた合言葉を返すと、情報を保護者のスマートフォンなどに送る。この機能を使えば、子どもが何時ごろバス停を通ったのかなどを把握できる。将来は、話しかけなくても自動認識できる仕組みを目指す。
見守り機能を導入したのは、全国で増加傾向にある行方不明者を減らし、犯罪の抑止につなげたいという思いから。見守り用のアプリを開発した外松(とまつ)俊尚さん(22)=情報工学科4年=は「野々市はバス停がコンビニより多く、既存の防犯カメラより有効な手段になると考えた」と話す。
付近の道順を尋ねると音声で案内してくれる。災害時にはイラストと地図で、外国人にも分かるよう複数の言語で避難指示を表示する。現在は英語だけで、今後増やす。会話の言語処理を担当した油野凌真さん(22)=同=は昨年秋の関東・東北豪雨で、防災無線を理解できない外国人が逃げ遅れたことを知り、多言語化に取り組んだ。「バス停ならば身近にあり、情報を得て逃げてもらえるのではないか」。2人に共通するのは社会貢献への思いだ。
バス停はメンバーの手作りで、経費は人件費を除いて10万円かかったという。袖氏は「既存のバス停は学生にとってそれほど利便性が高くない。より有効に使える方策を検討する中でアイデアが生まれた」と説明。実際にバス停に配置して実験できないか現在、市側と調整している。
実物が披露されるのは、総務省北陸総合通信局(金沢市)などが主催する「トライアルコンクールマッチングイベント」。北陸3県の大学や専門学校が開発した、位置情報とICTを組み合わせた優秀作品が出品される。企業や行政との個別相談も実施予定で、通信局は実用化への動きを期待している。問い合わせは、同局=電076(233)4430=へ。
(2016年5月31日 北陸中日新聞朝刊富山版より)