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中日新聞掲載の大学記事

2016.05.07

ホタルの光 ルシフェリン 簡単作り方 中部大准教授ら発見 進化の謎 解明期待

 ホタルの発光に必要な化学物質「ルシフェリン」は、市販されている単純な構造の2つの化学物質を水の中で混ぜる簡単な方法で合成できることを、中部大環境生物科学科の大場裕一准教授らのグループがつきとめた。ホタルの祖先の体内で同じ化学反応が起きた可能性があり、ホタルがどのように光る能力を得たかという進化の謎の解明に、重要な手掛かりになるとしている。成果は英科学誌電子版に掲載された。

 グループはルシフェリンを調べる中で、昆虫や植物に含まれる単純構造の化合物「ベンゾキノン」と、タンパク質を構成するアミノ酸「システイン」を中性の水に入れ約3時間かき混ぜると最大1%の割合でルシフェリンができることを発見した。

 自然界にある中性水に混ざるだけで生じるため、ホタルが発光する能力を得た過程でも、同じ反応が起きた可能性が考えられるという。ホタルは恐竜がいた白亜紀(約1億4500万〜6600万年前)に現れたとされるが、どのように光る力を得たか分かっていない。

 ルシフェリンは調理場などの雑菌を調べる時に使うが、多数の工程を経てつくるため高価。今回の簡易な手法の発見で、より安価な製造法が期待できる。高校などで、合成する実験もできるという。

 大場准教授は「市販の2つの化学物質を室温で混ぜるだけで合成できることに驚く。進化の過程をさらに解明したい」と話す。

(2016年5月7日 中日新聞朝刊33面より)
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