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2016.05.03
溶けない熊本愛 岐阜で幇間見習い22歳、かき氷販売
岐阜市の花柳界で、たいこ持ちの「幇間(ほうかん)」を目指して修業中の辰次さん(22)=本名・橋嶋直人=が2日、郷里の熊本県に古くから伝わる酒「赤酒」を使ったオリジナルのかき氷を、岐阜市のお茶屋で売り始めた。辰次さんは、熊本地震で大きな被害を受けた同県御船町出身の大学生。「微力ながら愛する熊本のために」と、売り上げの一部を義援金として被災地に送る。(岐阜報道部・嶋村光希子)
辰次さんは高校時代に管理栄養士を志し、現在は東海学院大(岐阜県各務原市)の管理栄養学科3年生。岐阜市の芸妓(げいぎ)連「鳳川伎連」の催しをボランティアで手伝ったのがきっかけで、日本で数人しかいない幇間の一人・喜久次さん(46)=岐阜市在住=を知り、昨年夏に弟子入りした。週末を中心に三味線や鳴り物、茶道など幇間になるための芸や素養を学んでいる。
生まれ育った御船町は、熊本地震で二度の震度7を観測した益城町の南隣。自宅の真下に断層があり、4月16日の本震で下から真っ二つに亀裂が入った。
「本震後2日間、家族と連絡が取れず、ニュースから目が離せなかった」と辰次さん。母久美さん(46)と3人の兄弟は無事だったが、2週間以上も車中泊を余儀なくされた。母からは「直人、覚悟しろよ。(今は危険だから)絶対帰ってくるなよ」と言われた。
「思い出の場所がぐちゃぐちゃになっているのだろう」と悲しみつつ、「岐阜でできる被災地支援を」と、かき氷の販売を思い立った。熊本でおとそなどに使う「赤酒」に漬けた干しぶどうをかき氷の中に埋め込み、みりんや白みつ、練乳をかけて和風の味わいに仕立てた。
赤酒の醸造元の中には、地震被害で酒造りのできないところがあるという。辰次さんは「熊本においしいお酒があることを知って、被災地への関心を持ち続けてもらえたら」と願う。
かき氷は8日まで、岐阜市東高岩町のお茶屋「満豊はなれ」で、辰次さんが自らつくって1000円(税込み)で販売する。席料などは不要。うち100円を義援金とし、店内には募金箱も置く。
問い合わせは鳳川伎連=電058(265)5887=へ。
(2016年5月3日 中日新聞朝刊30面より)
辰次さんは高校時代に管理栄養士を志し、現在は東海学院大(岐阜県各務原市)の管理栄養学科3年生。岐阜市の芸妓(げいぎ)連「鳳川伎連」の催しをボランティアで手伝ったのがきっかけで、日本で数人しかいない幇間の一人・喜久次さん(46)=岐阜市在住=を知り、昨年夏に弟子入りした。週末を中心に三味線や鳴り物、茶道など幇間になるための芸や素養を学んでいる。
生まれ育った御船町は、熊本地震で二度の震度7を観測した益城町の南隣。自宅の真下に断層があり、4月16日の本震で下から真っ二つに亀裂が入った。
「本震後2日間、家族と連絡が取れず、ニュースから目が離せなかった」と辰次さん。母久美さん(46)と3人の兄弟は無事だったが、2週間以上も車中泊を余儀なくされた。母からは「直人、覚悟しろよ。(今は危険だから)絶対帰ってくるなよ」と言われた。
「思い出の場所がぐちゃぐちゃになっているのだろう」と悲しみつつ、「岐阜でできる被災地支援を」と、かき氷の販売を思い立った。熊本でおとそなどに使う「赤酒」に漬けた干しぶどうをかき氷の中に埋め込み、みりんや白みつ、練乳をかけて和風の味わいに仕立てた。
赤酒の醸造元の中には、地震被害で酒造りのできないところがあるという。辰次さんは「熊本においしいお酒があることを知って、被災地への関心を持ち続けてもらえたら」と願う。
かき氷は8日まで、岐阜市東高岩町のお茶屋「満豊はなれ」で、辰次さんが自らつくって1000円(税込み)で販売する。席料などは不要。うち100円を義援金とし、店内には募金箱も置く。
問い合わせは鳳川伎連=電058(265)5887=へ。
(2016年5月3日 中日新聞朝刊30面より)