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中日新聞掲載の大学記事

2016.03.01

詩歌療法 心癒やし回復へ 「入門書幅広く使って」 岐阜女子大の小山田教授出版

 岐阜女子大文化創造学部教授の小山田隆明さん(78)が、詩歌による心理療法の入門書「詩歌に救われた人びと−詩歌療法入門」を出した。「心理臨床の場だけでなく、教育現場やセルフケアのためにも幅広く使ってもらいたい」と話す。(督あかり)

 詩歌療法は、詩を読み書きすることで感情を解き放って情緒を安定させ、自分や世界への見方を変えていくもの。日本ではまだ確立されていないが、米国では「ポエトリーセラピー」として、精神医学の治療にも用いられている。

 同書では、詩歌療法の技法や、詩歌に触れることで心に変化のあった人などのケースを紹介。例えば、人前でしゃべれなくなった若者が、複数の人が共同して1つの詩を作る「連詩療法」によって回復に向かった過程などを報告している。

 「短い詩を付け合うことで、文字によるコミュニケーションが成りたつ。感情の共有を促す作用があり、人間関係の回復につながる」と分析する小山田さん。自身は、小学生のころから詩に興味を持った。ドイツの詩人のカール・ブッセの「山のあなた」がお気に入りだったという。

 同書では、悩み苦しむ人に薦める詩の例として茨木のり子さんの「倚(よ)りかからず」など17編を紹介しており、「孤独な心を癒やし、閉ざされた心を開いてもらうきっかけになればうれしい」と話している。発行は風詠社(大阪市)。税抜き1500円。

(2016年3月1日 中日新聞朝刊岐阜版より)

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