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2016.01.26
ミャンマー難民 「友人」として支援 愛知の学生ら日本語講座
愛知県内の大学生たちが難民支援のグループを立ち上げ、ボランティア活動に力を入れている。取り組みの柱は、内戦が続いたミャンマーから逃れてきた人たちへの日本語講座。交流を通して「自分たちにできることは何なのか」と考えながら、活動を広げようとしている。(社会部・谷悠己)
「以前は『難民ってかわいそうな人たちなのかな』くらいにしか考えていなかったのですが・・・」。代表の名古屋市立大4年都築秀斗さん(21)が打ち明ける。
3年前、名古屋市で難民支援のNPOを立ち上げた大学院生の講演会に参加したことが、活動のきっかけとなった。「世代が近い先輩の熱意に圧倒されて」、手伝うようになった。
ルワンダ、ネパール、ミャンマー・・・。難民たちはみな、つらい境遇を経験しているはずなのに明るく笑う人が多かった。「友人として付き合いたいと思うようになるにつれて同情が消え、もっと難民について知りたくなった」
2年前に難民問題に取り組む学生の全国組織が発足すると、都築さんを中心に愛知支部も設立。グループ名はピース(平和)やピープル(人々)などの「P」と全国の大学数を組み合わせた「P782 in Aichi」。中京、愛知、名古屋市立各大の1〜4年の約10人が所属する。月1回、土曜の朝に喫茶店で勉強会を開いてきた。
昨年7月からはミャンマー人向けの日本語講座を名古屋市内で始めた。グループがもともと手伝っていた別の支援団体による多国籍の講座にミャンマー人の参加希望が集中したため、同国出身者だけで気兼ねなく学べる講座を運営することになった。
ミャンマーは少数民族が多く、軍事政権との内戦が頻発した影響で難民が続出した。受講者たちも母国での境遇は多くを語ろうとしない。工場などで働いている人が多く「夜勤が多い」「休みが少ない」と悩みを聞くこともある。
都築さんは「個人的な背景を知った上で支援すべきか、あまり踏み込まずに陰ながら支えるべきか、迷うこともある」と、手探りで交流を続けている。
毎月2回、日曜に開く講座には20〜40代の男女約15人が通う。現在は学生側が足りないが、将来的にはマンツーマンが理想だ。経済的に苦しい人が多いため、授業料は毎回200円だけ。会場費や交通費がかかるので学生たちの負担は少なくない。
都築さんは「卒業後も国際的な視点を持つためにも、身近に暮らす難民の人たちと触れ合う機会は貴重だと思う」と、学生の参加を呼び掛けている。
▼ミャンマーの難民 全国難民弁護団連絡会議(東京)によると、日本では難民認定制度が開始された1982年から昨年まで国別最多の5496人が申請し、213人が認定された。少数民族が多く、軍事政権との内戦が頻発した背景があり、欧米主要国と比べ認定数の少なさが指摘される日本でもミャンマー出身者の認定例は突出して多い。2010年からはタイなど近隣諸国の難民キャンプにいるミャンマー難民も定期的に受け入れている。
(2016年1月26日 中日新聞朝刊31面より)
「以前は『難民ってかわいそうな人たちなのかな』くらいにしか考えていなかったのですが・・・」。代表の名古屋市立大4年都築秀斗さん(21)が打ち明ける。
3年前、名古屋市で難民支援のNPOを立ち上げた大学院生の講演会に参加したことが、活動のきっかけとなった。「世代が近い先輩の熱意に圧倒されて」、手伝うようになった。
ルワンダ、ネパール、ミャンマー・・・。難民たちはみな、つらい境遇を経験しているはずなのに明るく笑う人が多かった。「友人として付き合いたいと思うようになるにつれて同情が消え、もっと難民について知りたくなった」
2年前に難民問題に取り組む学生の全国組織が発足すると、都築さんを中心に愛知支部も設立。グループ名はピース(平和)やピープル(人々)などの「P」と全国の大学数を組み合わせた「P782 in Aichi」。中京、愛知、名古屋市立各大の1〜4年の約10人が所属する。月1回、土曜の朝に喫茶店で勉強会を開いてきた。
昨年7月からはミャンマー人向けの日本語講座を名古屋市内で始めた。グループがもともと手伝っていた別の支援団体による多国籍の講座にミャンマー人の参加希望が集中したため、同国出身者だけで気兼ねなく学べる講座を運営することになった。
ミャンマーは少数民族が多く、軍事政権との内戦が頻発した影響で難民が続出した。受講者たちも母国での境遇は多くを語ろうとしない。工場などで働いている人が多く「夜勤が多い」「休みが少ない」と悩みを聞くこともある。
都築さんは「個人的な背景を知った上で支援すべきか、あまり踏み込まずに陰ながら支えるべきか、迷うこともある」と、手探りで交流を続けている。
毎月2回、日曜に開く講座には20〜40代の男女約15人が通う。現在は学生側が足りないが、将来的にはマンツーマンが理想だ。経済的に苦しい人が多いため、授業料は毎回200円だけ。会場費や交通費がかかるので学生たちの負担は少なくない。
都築さんは「卒業後も国際的な視点を持つためにも、身近に暮らす難民の人たちと触れ合う機会は貴重だと思う」と、学生の参加を呼び掛けている。
▼ミャンマーの難民 全国難民弁護団連絡会議(東京)によると、日本では難民認定制度が開始された1982年から昨年まで国別最多の5496人が申請し、213人が認定された。少数民族が多く、軍事政権との内戦が頻発した背景があり、欧米主要国と比べ認定数の少なさが指摘される日本でもミャンマー出身者の認定例は突出して多い。2010年からはタイなど近隣諸国の難民キャンプにいるミャンマー難民も定期的に受け入れている。
(2016年1月26日 中日新聞朝刊31面より)