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中日新聞掲載の大学記事

2015.01.05

愛教大 3月退官 沢特別教授の観望会 100回 思い出は星の数

 愛知県刈谷市の愛知教育大で天文学を教える沢武文特別教授(65)=名古屋市守山区=が開く星空の観望会が、10日で100回の節目を迎える。大学の地元住民に宇宙を体感してもらおうと2000年に始めた。分かりやすいと好評だったが、沢さんが退官する3月の101回目で最後となる。(刈谷通信局・岡村淳司)

 沢さんは、大学施設の公開の一環として天文台を使って観望会を始めた。隔月ペースで開き、03年の火星大接近や、11年の皆既月食には県内外から300人以上が参加。来場者は延べ6300人に及ぶ。沢さんは「教え子に尻をたたかれ手探りで始めたが、想像以上の人気で驚いた」と振り返る。

 昨年12月13日の99回目に母親と訪れた小学5年の松尾凌志君(10)=刈谷市=は繰り返し参加している。「星は明るさとか形がいろいろあって楽しい。寒くても我慢できる」と、屋上にある望遠鏡をのぞいた。

 沢さんはミニ講座もセットで開いており、宇宙人の存在や元素の起源、暦の秘密などをテーマにしてきた。100回目は1990年ごろに自作したソフト「パワーズオブテン」を使用。観測の限界となる138億光年先の「宇宙の地平線」に至る画像を紹介し、宇宙のスケールの大きさを実感してもらうつもりだ。

 沢さんは宮崎県延岡市の山あいに生まれた。街灯がなく星空の美しい古里。小学生のころ、兄の望遠鏡で月を見て興味を持った。天文学者として歩んだ37年。「心残りはいっぱいだけど、皆の支えでそれなりにやってこられた。最先端の研究はしなかったが、地域の人びとに宇宙を知ってもらえた満足感がある」と手応えを感じている。

 宇宙は研究が進むほどに分からないことが増える。尽くせぬ謎が天文学の魅力といい「写真やネットで見る星はとてもきれいだ。でも、ぜひ自分の目で見てもらいたい。そこには特別な感動がある」と力を込めた。

 一方、教員仲間が観望会を継続する計画を進めている。100回目の観望会は午後5時から。参加無料。問い合わせは愛教大天文学研究室=0566(26)2624=へ。

(2015年1月5日 中日新聞夕刊10面より)
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