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中日新聞掲載の大学記事

2014.11.22

外国人の子とキャンプへ 教員目指す愛知淑徳大生 あすから岐阜・白川

 小中学校の教員を目指す愛知淑徳大文学部教育学科(長久手市)の学生6人が23、24日、岐阜県白川村で外国人の子と一緒に過ごすキャンプに臨む。学校で外国人の成長過程に合わせた指導を求められる中、個々の事情を把握し、支えていく力を学んでもらう試みだ。(戸川祐馬)

 多文化共生が専門の小島祥美准教授(41)が初めて企画。日本財団学生ボランティアセンター(東京都)から活動費の助成を受ける。学校教育法施行規則の一部改正で、日本語指導が必要な児童生徒に合わせた指導計画を作る「特別の教育課程」が導入された。教員には外国人の日本語能力だけでなく、家庭環境や就学歴なども把握することが求められる。

 キャンプは1泊2日で、犬山、小牧市に住む9〜17歳のペルー、ブラジル、フィリピン人計21人が参加。23日に世界遺産の白川郷を歩いて自分が気に入った風景を撮影し、24日にその写真を撮った理由を発表する。学生は外国人の子と接する中で、教育現場で必要な力をつけ、子どもは積極的に感情を表現し、自信をつける機会にする。

 キャンプの準備のため学生たちは今年8、9月、メキシコに2週間滞在し、現地の大学生と交流。模擬授業などで言葉が通じない立場を経験した。保浦友成さん(21)は「言葉が分からないと何をしたらいいか分からず、しまいには学校が嫌になる」と痛感した。勝野和希子さん(21)は「外国人の子は不安な気持ちになることが多いと思う。ちょっとしたサインを見逃さないようにしたい」。

 文部科学省の2012年度の調査によると、県内で日本語指導が必要な外国人の児童生徒は全国最多の5878人。だが、大学では「特別の教育課程」のための人材育成は進んでいない。小島准教授は「個々を見ていく視点は日本人の子にも大切なこと。今回のキャンプを検証して、こういう機会を増やしたい」と話す。

【特別の教育課程】 2014年4月1日から外国人の児童生徒に対して設けられた。これまで外国人の子は、自分が在籍する学級とは別の部屋で日本語指導や教科の個別授業を受けてきた。これらは学級外の学習の位置付けで評価の対象外だったが、学校教育法施行規則の改正により、正規の教育課程の一環と扱われる。

(2014年11月22日 中日新聞朝刊市民総合版より)

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