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2014.07.12
中国の愛国教育研究評価 短大講師 武さん平塚賞
名古屋経営短大(尾張旭市)講師の武小燕さん(38)が、中国の愛国教育をまとめた著書「改革開放後中国の愛国主義教育」で、日本比較教育学会(東京)の学会賞「平塚賞」を受賞した。外国人研究者の受賞は初で、12日、母校でもある名古屋大(名古屋市千種区)で授賞式が行われる。
愛国教育は、列強からの侵略の歴史も教材とされている。そのため、反日デモが起きた時に「愛国教育によって植え付けられた過度な愛国心が招いた」と批判される。
武さんは、2005年、当時の小泉純一郎首相の靖国神社参拝に端を発した反日デモの報道に触れ、自国の愛国教育に興味を持った。
武さんは、中国の教科書制度などを調べるとともに、中国各地で教師へのインタビューなどを重ね、1978年の改革開放後、自由主義経済や西側の思想が中国社会を多様化させる中で、「愛国」が国を束ねるスローガンになったと分析。
一方で、教育現場では、子どもたちの団体行動や規範意識を高めることに重点を置いた指導が行われている実態も明らかにした。
「反日デモの際に報じられる『愛国教育は反日教育』という紋切り型の解釈は誤りで、愛国教育を通じて歴史や社会への理解を深め、変革を促す側面もある」と指摘する。
武さんは、愛国教育で日本の取り上げ方が反日感情の一因になっていることは認めつつ、「言論の自由が制限されている閉鎖性が、健全な愛国心が育つことを阻んでいる。愛国教育と言論の自由、民主化が両輪となれば、人々の価値判断に基づく開かれた愛国心が育つ」と話した。(今村太郎)
(2014年7月12日 中日新聞朝刊県内版より)
愛国教育は、列強からの侵略の歴史も教材とされている。そのため、反日デモが起きた時に「愛国教育によって植え付けられた過度な愛国心が招いた」と批判される。
武さんは、2005年、当時の小泉純一郎首相の靖国神社参拝に端を発した反日デモの報道に触れ、自国の愛国教育に興味を持った。
武さんは、中国の教科書制度などを調べるとともに、中国各地で教師へのインタビューなどを重ね、1978年の改革開放後、自由主義経済や西側の思想が中国社会を多様化させる中で、「愛国」が国を束ねるスローガンになったと分析。
一方で、教育現場では、子どもたちの団体行動や規範意識を高めることに重点を置いた指導が行われている実態も明らかにした。
「反日デモの際に報じられる『愛国教育は反日教育』という紋切り型の解釈は誤りで、愛国教育を通じて歴史や社会への理解を深め、変革を促す側面もある」と指摘する。
武さんは、愛国教育で日本の取り上げ方が反日感情の一因になっていることは認めつつ、「言論の自由が制限されている閉鎖性が、健全な愛国心が育つことを阻んでいる。愛国教育と言論の自由、民主化が両輪となれば、人々の価値判断に基づく開かれた愛国心が育つ」と話した。(今村太郎)
(2014年7月12日 中日新聞朝刊県内版より)