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中日新聞掲載の大学記事

2014.02.16

また仲間と踊る喜び がん克服、名女大の柿原さん

 【南投県(台湾)=山野舞子】台湾中部の南投県で14日夜にあった旧正月の祭り「台湾ランタンフェスティバル」に、名古屋市の学生ダンスチーム「鯱(しゃち)」の一員として名古屋女子大2年柿原沙依(さえ)さん(20)が参加した。がんを克服しての晴れ舞台。家族や仲間に感謝の気持ちを込めた。

 愛知県新城市出身の柿原さんは小学5年生から地元のダンスチームで活動。名古屋を中心としたイベント「にっぽんど真ん中祭り」(どまつり)にも出場した。高校生の時に地元の祭りで見た「鯱」の演舞にひかれ、大学入学と同時にメンバーに。振り付け係となり、夏のどまつり出演を目指していた。

 仲間と準備に励んでいた昨年5月、突然腹痛と吐き気に襲われ、救急車で病院へ。卵巣に大きな腫瘍が見つかった。摘出手術は成功したが、転移を防ぐため抗がん剤治療が必要に。吐き気でご飯がのどを通らず、歩くのもままならない。髪も抜けていく。「びっくりしたし、悲しかった」。どまつりに出られないことが何よりショックだった。看病する母親に心配かけないよう、夜中に一人、布団の中で声を殺して泣いた。

 昨年11月に治療が終わると、うれしい知らせが待っていた。どまつりでの長年の実績が評価され、海外初舞台となるチームの台湾行きが決まった。

 待ちに待った本番、柿原さんは民謡「名古屋ばやし」などを採り入れたテンポの速い曲に合わせ、力強く踊り、歌った。大地や家族への感謝を込めた歌の一節「母からもらったあの産声を、今この歌にのせよう−」は特に力を込めて。

 「踊りながら、母や仲間の顔が浮かんだ。あらためて踊れることの楽しさと、多くの人に支えられて生きていることを感じた」。異国の地で受ける大きな拍手に涙がこみ上げた。

(2014年2月16日 中日新聞朝刊38面より)
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