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中日新聞掲載の大学記事

2013.11.26

竹炭でセシウム吸着 中京大のグループ実証

 中京大工学部の長谷川純一、野浪亨両教授らのグループは25日、豊田市の同大豊田キャンパスで会見し、竹炭にヨウ素やセシウムを吸着する高い能力があることを実証したと発表した。原発事故の放射性物質の除染への応用が期待される。

 竹炭は多数の微細な穴を持ち、1グラム当たりの表面積が100平方メートルと広い。この性質が浄水器や消臭の材料として使われている。

 グループは、孟宗竹(もうそうちく)を最高温度660度で6時間焼いて竹炭を試作し、この竹炭10グラムを容器に詰めたフィルターにヨウ素、セシウムを溶かした2種類の水溶液を通過させる実験をした。

 水溶液の濃度を測定し、現在、放射性物質の吸着で有効とされている鉱物材料のゼオライトと比べたところ、吸着はヨウ素で5倍以上になったほか、セシウムでも74%あったことが分かった。

 長谷川教授は「福島の原発事故後、竹炭の放射能対策への応用を考えた。今回は非放射性のセシウムなどを使ったが、放射性の場合も同様の効果が期待できる」と話す。神戸市で30日から開かれる人間生活環境学会のシンポジウムでも発表する。

 グループは実験結果を受け、キャンパス内に「竹炭窯」を設置し、12月上旬から稼働させる。燃焼の温度や時間など焼き方を調整して吸着能力を高める実験を続ける。

 企業とも連携し、除染で発生する汚染土を保管する袋やベビーカーのカバーに竹炭を塗り込んで被ばくを防ぐといったさまざまな商品化の可能性を探る。

 野浪教授は「竹林は全国に広がっており、ゼオライトに比べ容易に入手できる。汚染物質のみを濃縮して取り出す技術も実現できれば」と話している。(相坂穣)

(2013年11月26日 中日新聞朝刊県内版より)
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