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2008.10.03
日福大・長谷川教授ら本出版 追跡調査も
逆境乗り越え『幸せに』
施設の子ら 苦しみや夢つづる
「誰も私を心配してくれない」と幼少で家族の崩壊に直面しながら乗り越え、「今ならこの家族でよかったといえる」「一緒に幸せになりたい」−。東海三県の児童養護施設で生活する子どもたちのこんな生の声を集めた成長記録を、日本福祉大社会福祉学部の長谷川眞人教授(65)=児童福祉論=とゼミ生がまとめ、「しあわせな明日を信じて」(福村出版)として出版した。
長谷川教授は、こうした経験が今後の人生にどう影響するかも、追跡調査する考えだ。
職員が代筆した乳児、施設を巣立った大人も含み、23人の生い立ちや親への思い、夢が書かれている。施設職員が様子を書き添えたり、大学教員ら研究者が分析を加えたりしている。
両親が離婚した中1の舞子さんは、母親が覚せい剤取締法違反で逮捕されて入所。「(施設では)何もかもが嫌だった。ことごとく反抗したかった」と振り返る。今は母と暮らし「一緒に幸せになりたい。普通の家庭をもちたい。みんなでがんばっていきたい」と希望を持つ。
高3の直美さんは、虐待が原因で入所するとともに解離性同一性障害(多重人格)となった。ずっと生まれてきたことに疑問を持っていたが、充実した高校生活を送り、恩師や寮の先生らに感謝しながら「生きていて、本当に良かった。ありがとう」とつづる。
長谷川教授は昨秋、当時3年生のゼミ生16人に調査への協力を持ち掛けた。50以上の施設に依頼して手記を書いてもらい、経歴をなぞるだけの話は再度書き足してもらった。
追跡調査は3年ごとにする予定。本の印税は、設立したNPO法人「こどもサポートネットあいち」(名古屋市北区)の運営費に充てる。調査のほか、児童養護施設の職員の研修や支援をし、子育てに悩む親の相談も受ける。四六判、350ページ、1890円。
(写真)出版した本を見る日本福祉大の長谷川眞人教授(中)とゼミ生たち=名古屋市北区の「こどもサポートネットあいち」で
(2008年10月3日 中日新聞夕刊16面より)
施設の子ら 苦しみや夢つづる
「誰も私を心配してくれない」と幼少で家族の崩壊に直面しながら乗り越え、「今ならこの家族でよかったといえる」「一緒に幸せになりたい」−。東海三県の児童養護施設で生活する子どもたちのこんな生の声を集めた成長記録を、日本福祉大社会福祉学部の長谷川眞人教授(65)=児童福祉論=とゼミ生がまとめ、「しあわせな明日を信じて」(福村出版)として出版した。
長谷川教授は、こうした経験が今後の人生にどう影響するかも、追跡調査する考えだ。
職員が代筆した乳児、施設を巣立った大人も含み、23人の生い立ちや親への思い、夢が書かれている。施設職員が様子を書き添えたり、大学教員ら研究者が分析を加えたりしている。
両親が離婚した中1の舞子さんは、母親が覚せい剤取締法違反で逮捕されて入所。「(施設では)何もかもが嫌だった。ことごとく反抗したかった」と振り返る。今は母と暮らし「一緒に幸せになりたい。普通の家庭をもちたい。みんなでがんばっていきたい」と希望を持つ。
高3の直美さんは、虐待が原因で入所するとともに解離性同一性障害(多重人格)となった。ずっと生まれてきたことに疑問を持っていたが、充実した高校生活を送り、恩師や寮の先生らに感謝しながら「生きていて、本当に良かった。ありがとう」とつづる。
長谷川教授は昨秋、当時3年生のゼミ生16人に調査への協力を持ち掛けた。50以上の施設に依頼して手記を書いてもらい、経歴をなぞるだけの話は再度書き足してもらった。
追跡調査は3年ごとにする予定。本の印税は、設立したNPO法人「こどもサポートネットあいち」(名古屋市北区)の運営費に充てる。調査のほか、児童養護施設の職員の研修や支援をし、子育てに悩む親の相談も受ける。四六判、350ページ、1890円。
(写真)出版した本を見る日本福祉大の長谷川眞人教授(中)とゼミ生たち=名古屋市北区の「こどもサポートネットあいち」で
(2008年10月3日 中日新聞夕刊16面より)