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2013.02.18
支援活動の学生 焼きついた光景 名東現状伝える講演会
■被災地がれきの下に運動靴
東日本大震災が起きた3月11日が近づく中、市内の大学生らでつくるボランティアグループが16日、被災地の現状を伝える講演会を名東区の「戦争と平和の資料館 ピースあいち」で開いた。「私たちにできることを考えよう」と来場者に訴えかけた。
グループは、平和の尊さを学ぶためにピースあいちのイベント運営などを手伝う「PATH」。名古屋市立大人文社会学部の学生ら10人がメンバーだ。津波に襲われた岩手県釜石市と宮城県南三陸町で昨年の秋から2回、がれき撤去や土木工事の材木を運ぶボランティアをした同学部1年の岡原里佳さん(19)らが企画した。
来場した30人の前で岡原さんが講演した。「住宅があった場所でがれきをどかしたら、高校生用の運動靴が落ちていた。持ち主はどうなったんだろう・・・」。頭に焼きついた光景を振り返った。
「行くまでは、被災者の気持ちを知らない私がボランティアしてもいいのかな、って思っていた」と岡原さん。最後にこう語った。「被災地が忘れられてしまうのが怖い、と話す人とも出会った。目に見えた成果があるわけじゃないけど、今はボランティアが必要と感じている」
福島第1原発事故の影響が濃い福島市から岐阜市へ、家族とともに避難している心理セラピストの佐藤瑛気さん(39)も講演。「(小学校低学年だった)長女が、放射性物質が付着した木や土を自由に触れなくなった」と記憶をたどった。
佐藤さんは原発事故の直後に夫婦で庭の手入れをした。「国からは、放射性物質の影響を知らされていなかった。僕も妻も、手袋をはめていたのに指先が荒れた」。長女が原因不明の鼻血を出し、怖くなったこともあったという。声にこもった怒りが強まる佐藤さんを、PATHのメンバーが目をそらさずに見つめていた。(伊藤隆平)
(2013年2月18日 中日新聞朝刊市民版より)
東日本大震災が起きた3月11日が近づく中、市内の大学生らでつくるボランティアグループが16日、被災地の現状を伝える講演会を名東区の「戦争と平和の資料館 ピースあいち」で開いた。「私たちにできることを考えよう」と来場者に訴えかけた。
グループは、平和の尊さを学ぶためにピースあいちのイベント運営などを手伝う「PATH」。名古屋市立大人文社会学部の学生ら10人がメンバーだ。津波に襲われた岩手県釜石市と宮城県南三陸町で昨年の秋から2回、がれき撤去や土木工事の材木を運ぶボランティアをした同学部1年の岡原里佳さん(19)らが企画した。
来場した30人の前で岡原さんが講演した。「住宅があった場所でがれきをどかしたら、高校生用の運動靴が落ちていた。持ち主はどうなったんだろう・・・」。頭に焼きついた光景を振り返った。
「行くまでは、被災者の気持ちを知らない私がボランティアしてもいいのかな、って思っていた」と岡原さん。最後にこう語った。「被災地が忘れられてしまうのが怖い、と話す人とも出会った。目に見えた成果があるわけじゃないけど、今はボランティアが必要と感じている」
福島第1原発事故の影響が濃い福島市から岐阜市へ、家族とともに避難している心理セラピストの佐藤瑛気さん(39)も講演。「(小学校低学年だった)長女が、放射性物質が付着した木や土を自由に触れなくなった」と記憶をたどった。
佐藤さんは原発事故の直後に夫婦で庭の手入れをした。「国からは、放射性物質の影響を知らされていなかった。僕も妻も、手袋をはめていたのに指先が荒れた」。長女が原因不明の鼻血を出し、怖くなったこともあったという。声にこもった怒りが強まる佐藤さんを、PATHのメンバーが目をそらさずに見つめていた。(伊藤隆平)
(2013年2月18日 中日新聞朝刊市民版より)