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中日新聞掲載の大学記事

2012.11.07

愛工大 貯水タンク 耐震実験 長周期振動、破壊寸前に

 愛知工業大の鈴木森晶教授(耐震工学)らのグループが6日、学校や病院などのビルの貯水タンクの耐震性を調べる実験を豊田市の同大八草キャンパスで公開した。実験では、緩やかな揺れが続く長周期振動によってタンクが破壊寸前の状態になり、グループは耐震性の研究を進めていく。

 東日本大震災では、長周期振動で多数の貯水タンクが破損したことを受け、中央大の平野広和教授と共同で研究している。仙台市では、公立小中学校192校のうち62校で被害が出たほか、水不足になって患者の受け入れを減らす病院もあった。

 実験は、地震の揺れを再現できる振動台の上に、25トンの水を入れた一辺3メートルの立方体のステンレス製貯水タンクを載せて開始。震度1〜3に相当する振動を2〜10秒周期で繰り返した。

 揺れ幅の拡大に伴って水が波打ち、タンク内の天井や壁に水が大きな音とともに打ち付けられた。

 ステンレス板の溶接部分も通常の3ミリから20ミリ程度に広がった。今回の揺れ幅は最高で8.8ミリだったが、耐久性の計算上では、揺れ幅が9.5ミリ程度になるとタンクのステンレス板に亀裂が入り、水漏れが生じるという。

 鈴木教授は「国内の貯水タンクの耐震基準は、内部の水の振動が考慮されてこなかった。南海トラフ地震でも長周期振動が起きる可能性があり、タンクの耐震対策を考えたい」と話した。(相坂穣)

(2012年11月7日 中日新聞朝刊県内版より)
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