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中日新聞掲載の大学記事

2012.09.26

青色LED開発 赤崎特別教授に聞く 目標持たねば何も始まらぬ 来月6日、名大レクチャー登壇

 名古屋大で最高峰に位置づけられる講演会「名大レクチャー」(中日新聞社共催)に、青色発光ダイオード(LED)を開発した特別教授の赤崎勇さん(83)=名城大教授=が登場する。赤崎さんの研究がなければ、LED照明も携帯電話の液晶画面のライトも実現していなかったとされる。10月6日のレクチャーで「青色LEDが拓(ひら)いた光の革命」をテーマに講演する赤崎さんに、若者らに伝えたい思いなどを聞いた。 (中村禎一郎)

 −レクチャーで語りたいことは。

 青色LEDができたことで、光の三原色がそろい、すべての色を表現できるようになった。青色ができたから白色ができ、照明にも使えるようになっている。

 青色に魅せられて研究の道を歩んできた。材料にした窒化ガリウムは本当に扱いにくい材料。なかなかうまくいかず、結果が出なかった。だから、世界の研究者は次々と諦めていった。それでもこだわり続けたのは目標があったから。

 いつも若い研究者に言っていることだが、目標を持たなければ、何も始まらない。来場者にそんなことを感じてもらえたらうれしい。

 −レクチャーには将来を担う若い世代も来場する。

 人は早く成果が出る方に行きたくなってしまう。そういう気持ちは理解できる。しかし、私はあまり勧めない。日本は効率主義になってしまっているが、そうじゃない道があってもいいんじゃないか。私が効率的でない窒化ガリウムにこだわったように。

 途中で何度も試行錯誤を繰り返してきた。少々失敗したっていい。失敗なんて付きもの。失敗することで成長していく。私の研究者人生を通じて、そんなことを伝えたい。

 −名大への思いは。

 普段の講演では、あまり緊張しないが、今回は緊張している。さきほどは、すぐに結果が出なくともいいと言ったが、そういう研究をしていた私に自由に研究をさせてくれたのが名大。物心両面で支えになってくれた。すごく感謝している。

 もし研究を諦めざるを得ない環境だったら、青色LEDの登場はずっと遅れて、21世紀に入っても照明はできていなかったかもしれない。

 名大レクチャーは10月6日午後3時から、名古屋市千種区の大学構内にある豊田講堂で開かれる。はがきやファクスで応募を受け付ける。希望者全員の氏名、年齢、職業(学校名、学年)と代表者の住所と電話番号を明記し、〒464 8601 名古屋大学高等研究院事務室=ファクス052(788)6151=へ。「名古屋大学高等研究院」のホームページからも申し込める。締め切りは今月29日。入場無料。

(2012年9月26日 中日新聞朝刊県内版より)
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