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2012.01.06
ツイッター歩き やはり危険 愛知工科大 名古屋でスマホ実験
■横方向 視線いかず
愛知工科大(蒲郡市)の学生らが、名古屋市の繁華街でスマートフォンを操作しながら歩き、視線の移動範囲を調べる実証実験をした。短文サイト「ツイッター」に投稿しながらでは、横方向の視線が極端に減り、車やすれ違う人にも注意がいかなかった。実験の結論はやはり、「危ない」だった。 (細井卓也)
実験したのは、ドライバーの視線などを研究する情報メディア学科の小塚一宏教授(交通工学)と教授の研究室の学生、大学院生ら計6人。4年の中谷周平さん(21)と中山友希さん(21)が被験者となった。
平日の昼下がり。中区栄の信号交差点で、機器を載せた帽子をかぶった中谷さんがスマートフォンを手に横断歩道を渡ると、つえを突いた高齢者とすれ違ったり、タクシーが近づいたりしても、視線は指を動かす画面にくぎ付けだった。
実験は、手ぶら▽通話しながら▽ツイッターしながら−の3パターンで約20メートルの横断歩道を往復。カメラで瞳の動きを追う「アイマークレコーダー」を装着して計測した。警察から実験の許可も受けた。
手ぶら時を基準に視線の移動範囲を分析した結果、ツイッター時は横方向が3分の1に縮小し、縦方向は1.6倍に拡大。偏った動きとなったのは、被験者が横を意識せず画面を凝視し、たまに前を行く人を見たため。横断歩道を渡り切る時間は、平均5秒以上も余分にかかった。
通話時は縦、横方向とも2割縮小し、視線が1点に長くとどまりやすい傾向が出た。視線が不自然に遠くに流れ、上の空状態だったことがうかがえる時間もあった。
当初、ツイッターしながら歩くのに抵抗感がなかった2人。結果に中谷さんは「これだけ周りを見ていないとさすがに危ない」。中山さんは「画面を見たりする際、壁を背にして立ち止まると良いのでは」と提案した。
小塚教授は「画面を見ながら歩くのは無防備。人混みでは、歩く速度が異なる高齢者や幼児、障害者とぶつかり、加害者になることも十分あり得る」と指摘する。
スマートフォンの普及で携帯電話は「聞く」から「見る」に。街でのマナーを考え直す時期に来ているのかもしれない。
(2012年1月6日 中日新聞朝刊県内版より)
愛知工科大(蒲郡市)の学生らが、名古屋市の繁華街でスマートフォンを操作しながら歩き、視線の移動範囲を調べる実証実験をした。短文サイト「ツイッター」に投稿しながらでは、横方向の視線が極端に減り、車やすれ違う人にも注意がいかなかった。実験の結論はやはり、「危ない」だった。 (細井卓也)
実験したのは、ドライバーの視線などを研究する情報メディア学科の小塚一宏教授(交通工学)と教授の研究室の学生、大学院生ら計6人。4年の中谷周平さん(21)と中山友希さん(21)が被験者となった。
平日の昼下がり。中区栄の信号交差点で、機器を載せた帽子をかぶった中谷さんがスマートフォンを手に横断歩道を渡ると、つえを突いた高齢者とすれ違ったり、タクシーが近づいたりしても、視線は指を動かす画面にくぎ付けだった。
実験は、手ぶら▽通話しながら▽ツイッターしながら−の3パターンで約20メートルの横断歩道を往復。カメラで瞳の動きを追う「アイマークレコーダー」を装着して計測した。警察から実験の許可も受けた。
手ぶら時を基準に視線の移動範囲を分析した結果、ツイッター時は横方向が3分の1に縮小し、縦方向は1.6倍に拡大。偏った動きとなったのは、被験者が横を意識せず画面を凝視し、たまに前を行く人を見たため。横断歩道を渡り切る時間は、平均5秒以上も余分にかかった。
通話時は縦、横方向とも2割縮小し、視線が1点に長くとどまりやすい傾向が出た。視線が不自然に遠くに流れ、上の空状態だったことがうかがえる時間もあった。
当初、ツイッターしながら歩くのに抵抗感がなかった2人。結果に中谷さんは「これだけ周りを見ていないとさすがに危ない」。中山さんは「画面を見たりする際、壁を背にして立ち止まると良いのでは」と提案した。
小塚教授は「画面を見ながら歩くのは無防備。人混みでは、歩く速度が異なる高齢者や幼児、障害者とぶつかり、加害者になることも十分あり得る」と指摘する。
スマートフォンの普及で携帯電話は「聞く」から「見る」に。街でのマナーを考え直す時期に来ているのかもしれない。
(2012年1月6日 中日新聞朝刊県内版より)