進学ナビ

HOME > 中日新聞掲載の大学記事 > 全て

中日新聞掲載の大学記事

2011.06.23

「マリンガーコレクション」刊行 旧石器の資料一覧に

■170万年前からの412点を整理

 欧州を中心とする海外の旧石器時代資料群として、国内最大級の規模を誇る南山大人類学博物館所蔵の「マリンガーコレクション」が初めて詳細に整理・分析され、図録研究書が刊行された。

 コレクションは、先史学を学んだドイツ出身の神父で、同大の教壇にも立ったヨハネス・マリンガー(1902〜81年)が欧州のほか東南アジア、中近東など世界各地の旧石器遺跡で収集したり、寄贈されたりしたもの。石器や骨角器など400点以上に上る。人類の拡散や発達過程を知る上で貴重な資料だが、ほとんどが未整理で、同館を中心に5年前から本格的な調査が続けられた。

 成果を報告した研究書は、170万〜1万2000年前の412点を実物大の写真と実測図で紹介。遺物の特徴を細かく観察でき、研究代表の黒沢浩・同大准教授によると「年代ごとの典型的資料を網羅するよう心掛け、加工技術や形状などの変遷がよく分かる内容になった」という。250部と少部数で、研究者から増刷を求める声も上がっている。

 マリンガーは52年から7年間、宣教活動の傍ら同大で教え、日本を去る際にコレクションを託した。各地の遺跡調査に協力、出土した石器を欧米の専門誌に紹介するなど、日本の旧石器時代研究の発展にも貢献した。

(2011年6月23日 中日新聞朝刊なごや東版より)
  • X

戻る < 一覧に戻る > 次へ