進学ナビ

HOME > 中日新聞掲載の大学記事 > お知らせ

中日新聞掲載の大学記事

お知らせ  2025.10.21

この記事の関連大学

名古屋短大 保育科に通信制 27年度新設 全国から学生確保へ

 名古屋短大(愛知県豊明市)が2027年度から、保育科に通信教育の課程を新設することが分かった。学生数の減少に歯止めをかける狙いがあり、東海地方に限らず全国から学生を確保する。保育士の資格を取得できる通信課程は中部初で、保育所を運営する小学館グループの企業とも協力し、同社の社員が働きながら通信課程で学んで資格を取得する取り組みも進める。

 同短大は保育科と現代教養学科、英語コミュニケーション学科(25年度以降の募集停止)の3学科があり、このうち保育科は1955年に設置。これまで中部地方では最大規模となる約1万5千人の保育士を送り出してきた。一方、入学者は東海4県の出身者がほとんどで、近年は学生数が減少。25年度の保育科の学生数は278人と21年度の490人から急減し、定員充足率は7割弱にとどまる。

 新たに設ける通信課程は入学定員150人で、幼稚園教諭は2年、保育士は3年。学習はオンラインが中心となるが、現場実習もあり、資格取得に必須となる対面授業の会場は同短大と東京に設ける。

 出版大手小学館のグループ会社で、全国約60カ所で保育所などを運営する小学館アカデミー(東京都)とは近く協定を締結。全国的な保育士不足のため、多くの施設で資格を持たずに働ける保育補助員が現場を支えているが、同社は27年度から新規採用した保育補助員に対し、働きながら同短大の通信課程で資格取得を目指してもらう制度を始める。

 入学金と3年間の授業料など計65万円は全額、同社が負担。同短大によると、こうした取り組みは全国的に珍しく、大谷岳学長は「18歳人口の減少が続くなか、全国から学生を集める必要がある。『保育の名短』として、小学館アカデミーと手を携え地域の保育需要に応える」と話す。

■減り続ける短大 「保育現場に相当な影響」

 短大の学生数の減少は全国的な傾向で、少子化や四年制大学志向の高まりが背景にあるという。文部科学省の調査では、短大は1996年度の598校をピークに減少し、2025年度は292校に半減。学生数も1993年度の約53万人から2024年度の約7万4千人まで減少した。

 日本私立短期大学協会が3月に公表した調査によると、26年ごろまでに募集を停止する私立短大は29校。愛知県内では、稲沢市の愛知文教女子短大が、26年度以降に入学する学生の募集を停止した。

 名古屋短大は学生確保のため、24年度から共学化に踏み切った。ただ25年度の男子入学者は約3%にとどまり、学生数の減少に歯止めがかかっていない。短大は卒業生の多くが地元で就職するため、名古屋短大の系列校で桜花学園大教育保育学科の新沼英明教授は「短大の減少は地域の保育現場に相当な影響を与えている」と指摘する。

(2025年10月21日 中日新聞朝刊1面より)
  • X

戻る < 一覧に戻る > 次へ