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学生活動  2024.08.26

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車の端材、デザインし雑貨製造 トヨタ紡織 名古屋学芸大 障害者就労支援施設

端材を活用した試作品を手にする学生たち=日進市の名古屋学芸大で

端材を活用した試作品を手にする学生たち=日進市の名古屋学芸大で

 トヨタ紡織(刈谷市)、名古屋学芸大(日進市)、障害者の就労支援施設の3者が共同で、自動車シートなどの端材を活用した商品化プロジェクトを進めている。端材を基に同大メディア造形学部の学生が小物や雑貨などをデザインし、障害のある人たちが形にする。「産学福」の連携による将来的な事業化が目標だ。 (青山直樹)

■3者共同で試作品 商品化も検討

 同社は、合成皮革などの端材に付加価値を付けて商品にする「アップサイクル」に取り組んでいる。それを知った同学部の草野圭一准教授が、親交のある社会福祉法人「名古屋ライトハウス」(名古屋市昭和区)とともに発案し、本年度からプロジェクトがスタートした。

 豊田市にある同社の高岡、堤の両工場のシート表皮やスポンジなどの端材を活用。それぞれ1日に約30キロも出るという端材を無償で提供する。具体的な商品のアイデアを出すのが学生たち。デザイン、映像メディア、ファッション造形の3学科のいずれも3年生の13人が参加し、試作品の開発を進めてきた。

 製造は、同法人が運営する障害者の就労継続支援事業所「日進ワークキャンパス」と「豊田ワークキャンパス」が担う。精神、知的障害のある人たちが仕事として請け負い、給料を受け取る仕組みづくりを目指す。

 同大で5日にあった発表会では、学生たちがクッションや老眼鏡のカバーやストラップ、ハンカチホルダーなどアイデアあふれる試作品を紹介。クッションはデスクワークをする人を想定し、腕枕用、腰当て用など3種類を用意した。

 老眼鏡のカバーは、ボタンを外して広げるとハート形になるおしゃれな形状。障害に配慮し、ハサミと接着剤、打ち具のみで簡単に作れるよう工夫した。デザイン学科3年の久野日楠(ひな)さん(20)は「色や素材が限られる中での製造は難しかった。ハート形は、少しでも楽しく作れるようにと考えた」と説明する。

 高岡工場工務部工場企画室の森一樹室長(55)は「こちらでは発想できない素晴らしい試作品ばかり」と感心しきり。今後、同社で商品化の検討を進めるという。豊田ワークキャンパスの中田義雄所長(54)は「障害者が作りやすいかどうかまで考えていることに驚いたし、とてもうれしい」と話した。

(2024年8月26日 中日新聞朝刊市民版より)

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