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お知らせ  2021.06.24

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隊員の熱中症予防へ連携 豊田市消防と中京大 新たな訓練導入

発汗量を計測する松本教授(右)=豊田市貝津町の中京大豊田キャンパスで

発汗量を計測する松本教授(右)=豊田市貝津町の中京大豊田キャンパスで

 豊田市消防本部は、本格的な夏が到来する前に、適切に運動することで消防隊員が熱中症になりにくい体づくりを目指す訓練を今年から取り入れた。21日には協力する中京大スポーツ科学部の豊田キャンパスで隊員の発汗量などを測定し、一定の成果が確認された。関係者は「火災や救急の現場でより円滑に活動できるようになる」と期待する。

 新型コロナウイルス対策でマスクや防護服を着用する機会が増え、熱中症のリスクが高まる中、消防本部は「隊員が現場で倒れたら元も子もない」(警防救急課)と、熱中症予防に詳しい中京大の松本孝朗教授(62)に協力を求めた。

 暑さに体を慣らす訓練は「暑熱順化(しょねつじゅんか)」と呼ばれる。5、6月ごろにやや暑い環境で運動することで、夏が来る前に体を暑さに慣らす。その結果、血液量や発汗量が増えて体温調節能力が高まり、熱中症の予防につながるという。既に消防の訓練に取り入れている自治体もある。

 通常の暑熱順化は、1日30分の運動を1カ月ほど継続すると効果が表れるが、消防本部はシフト制勤務で毎日訓練はできない。

 そこで松本教授がランニングと腹筋、スクワットなどの筋力トレーニングを組み合わせて週に3回、1時間の運動を考案。1カ月ほど前から消防隊や救急隊の隊員約400人が取り組んできた。

 21日の計測には20~50代の隊員8人が参加。気温30度、湿度50%の実験室で自転車型トレーニング器具をこいで発汗量を調べた。その結果、1カ月前よりも発汗量が大幅に増えていることが確認され、中には6倍以上になった人もいた。

 北消防署の消防隊員(46)は「以前より汗をかけるようになり、火災現場での活動にも効果があると思う」と話した。松本教授は「暑熱順化は体を夏向きに変化させるということ。さらに多くのデータを取って、より有効な訓練手法を考えたい」と今後の展望を語った。(小野開栄)

(2021年6月24日 中日新聞朝刊西三河版より)

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