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学生活動  2021.06.17

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投資の知識 ゲームで学ぶ FPや大学、IT企業連携

石原さん(中央)からゲーム形式で投資の知識を学ぶ学生たち=名古屋市昭和区の中京大で

石原さん(中央)からゲーム形式で投資の知識を学ぶ学生たち=名古屋市昭和区の中京大で

 「人生100年時代」を生き抜くお金の知識を身に付けよう-。ファイナンシャルプランナー(FP)や大学、IT企業が連携し、ゲーム形式による金融教育の授業づくりに取り組んでいる。若い世代に結婚や住宅購入などのライフイベントに備えた資金計画を考え、投資への理解を深めてもらうのが狙い。9月には専用のアプリも完成させる計画だ。(河郷丈史)

■学生 「資産運用 感覚つかめた」

 「資産が減ってる、やばい」「臨時収入が入ってラッキー」。名古屋市昭和区の中京大で今月3日、経済学部の3年生20人が5人1組のチームに分かれ、ゲーム形式の授業を受けた。講師を務めたのは同大卒業生のFP、石原玄紀さん(41)。「豊かな人生を送るには、お金が必要。ゲームを通じて、お金の動きを学んで」と呼び掛けた。

 石原さんは元証券マンで、現在は金融商品仲介業「きわみアセットマネジメント」(東京)で資産運用相談や相続対策を担当。「長い人生において投資の知識は大切なのに、日本では危険というイメージが強すぎる」と感じてきた。2月、恩師の鈴木崇児教授(51)に「金融教育をやりたい」と相談したのをきっかけに授業づくりが始まり、この日、鈴木教授のゼミ生を対象に初めて実践した。

 ゲームでは、チームごとに販売員や自営業者、スポーツ選手、フリーターといった収入が異なる職業の人を演じ、65歳までの人生を疑似体験。30歳、35歳、40歳、50歳、60歳の時点で結婚や出産、住宅購入、転職といった「ライフイベントカード」を引くなどすると、収入が変わったり大きな出費が生じたりする。コロナ禍や震災など社会の出来事も組み込み、例えば大手証券会社が倒産して世界的な不況に陥った場合、株式への投資割合が多いほど資産額が大きく減るなど、実際に起きうるリスクを体験できるようにした。

 学生らはチーム内で話し合いながら、貯蓄の割合や保険加入の有無、預金、株式、債券といった資産運用の仕方を決め、資産額の推移をシミュレーションした。太田侑李さん(20)は「資産運用のことをあまり知らなかったけど、株式や債券へバランス良く投資するなど、感覚をつかめた」と話した。

 今回は表計算ソフトで資産額を計算したが、市内のIT企業「エイチーム」の子会社で、金融情報サイトを運営するエイチームフィナジー(大阪市)がアプリを開発中。9月にはアプリを使って同大付属高校の生徒向けに授業を行い、引き合いがあれば各地の高校などにも活動を広げたい考えだ。石原さんは「投資は投機と違い、バランス良く少しずつ積み立てることでリスクを減らせる。社会人になった時に資産形成を考える一歩につながれば」と期待する。

■来年度から高校で金融教育

 日本人の資産は預貯金が中心で、投資にはあまりなじみがないとされる。日銀の統計では、日本の家計の金融資産構成(2020年3月)は現金・預金が54.2%で、株式等は9.6%、投資信託は3.4%。一方、米国は株式等と投資信託が半分近くを占め、現金・預金は1割程度だった。

 22年度から始まる高校の新学習指導要領では、家庭科の授業で株式、債券、投資信託などの金融商品の特徴や、資産形成の視点に触れるよう規定。金融庁が職員による出張授業に力を入れるなど、金融教育の動きが活発化している。

(2021年6月17日 中日新聞朝刊18面より)

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