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お知らせ 2018.10.17
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普通の酵素 突然光った 基生研など解明 1億年超前 ホタル遺伝子変異
ホタルが光る能力を獲得したのは、多くの生物が持つ酵素の遺伝子が進化の過程で繰り返しコピーされ、その一つが突然変異したためだったと、基礎生物学研究所(愛知県岡崎市)と中部大(同県春日井市)などの研究グループが16日、英国科学誌電子版で発表した。遺伝子の解読で、光る能力を得たのが1億500万年以上前にさかのぼることも分かった。
ホタルの発光は求愛行動の一つと考えられ、「ルシフェラーゼ」と呼ばれる酵素が発光に関わっていることが知られていた。ただ、能力を獲得した時期やその過程は未解明だった。
研究グループは米国の研究チームと共同で、日本の代表的なヘイケボタルと、米国産のホタル「フォティヌス・ピラリス」のゲノム(全遺伝情報)を解読。人など多くの生物が持つ「脂肪酸代謝酵素」の遺伝子が進化の過程で繰り返しコピーされ、その一つがルシフェラーゼの遺伝子に変化したことを突き止めた。
同じ発光の進化を遂げた2種類のホタルの祖先は約1億500万年前に分岐。その1000万年ほど前に祖先が分岐したとされる中米種の昆虫「ヒカリコメツキ」は、ホタルと別の方法で光る仕組みを獲得したことも分かった。このため、ホタルは二つの分岐の間に現在の発光能力を手にしたと考えられるという。
中部大の大場裕一准教授(発光生物学)は「ホタルの遺伝子の解明がさらに進むことで、発光の仕組みの産業利用や種の保全にも役立つのではないか」と話している。(安福晋一郎)
(2018年10月17日 中日新聞朝刊25面より)
ホタルの発光は求愛行動の一つと考えられ、「ルシフェラーゼ」と呼ばれる酵素が発光に関わっていることが知られていた。ただ、能力を獲得した時期やその過程は未解明だった。
研究グループは米国の研究チームと共同で、日本の代表的なヘイケボタルと、米国産のホタル「フォティヌス・ピラリス」のゲノム(全遺伝情報)を解読。人など多くの生物が持つ「脂肪酸代謝酵素」の遺伝子が進化の過程で繰り返しコピーされ、その一つがルシフェラーゼの遺伝子に変化したことを突き止めた。
同じ発光の進化を遂げた2種類のホタルの祖先は約1億500万年前に分岐。その1000万年ほど前に祖先が分岐したとされる中米種の昆虫「ヒカリコメツキ」は、ホタルと別の方法で光る仕組みを獲得したことも分かった。このため、ホタルは二つの分岐の間に現在の発光能力を手にしたと考えられるという。
中部大の大場裕一准教授(発光生物学)は「ホタルの遺伝子の解明がさらに進むことで、発光の仕組みの産業利用や種の保全にも役立つのではないか」と話している。(安福晋一郎)
(2018年10月17日 中日新聞朝刊25面より)