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中日新聞掲載の大学記事

2014.07.24

イラク人質 高遠さんら討論 市立大 戦争や平和テーマに

 イラク中部のファルージャで2004年、武装勢力に人質として拘束された高遠菜穂子さん(44)、今井紀明さん(29)と、2人を取材したドキュメンタリー映画の監督、伊藤めぐみさん(29)=三重県桑名市出身=が瑞穂区の市立大で、一般の参加者約150人と平和などをテーマに討論した。 (栗田晃)

 同大などで19〜21日に開かれた「愛知サマーセミナー」の特別講座。伊藤さんの監督作品「ファルージャ」の上映会、今井さんと高遠さんの講演に続いて、意見を交わした。

 高校生や大学生からは、「戦争はなぜなくならないのか」「日本の平和教育は形骸化しているのでは」といった質問が出た。

 今もイラクで医療などの支援活動をする高遠さんは「戦争という暴力の連鎖の中では、平和憲法は受け入れられないかもしれないが、救えるのはそれしかない。日本流の平和学、人道支援が育ってほしい」。伊藤さんは「もし自分が戦争に巻き込まれたら、という想像力を持つことが大事」と語った。

 イラク戦争のさなかで起きた人質事件に対し、当時、日本国内では「自己責任だ」と非難が渦巻いた。

 「どう乗り越えたのか」との質問に、今井さんは「まず趣味をたくさんつくり、幅広い人たちと関係をつくれるようにした」と答えた。高校を中退したり、不登校だったりした通信制高校生を支援する教育NPOを設立した経験から、若い世代に「失敗してもいいから行動してみて」とアドバイスした。

 人質事件は04年4月7日、高遠さんら日本人3人が武装勢力に誘拐された。犯行グループはイラクからの自衛隊撤退を要求したが、日本政府は拒否。3人は同15日に解放された。

(2014年7月24日 中日新聞朝刊市民総合版より)
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