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中日新聞掲載の大学記事

2013.08.23

県内高校生セミナー応募0も 介護人材確保に苦戦 若い世代が敬遠の現状

■やりがい求める生徒も

 介護職員が全国的に不足する中、県内でも若手の人材確保は難しく、関係者を悩ませている。7、8月に県内10会場であった夏休み高校生介護体験セミナーに参加したのは10人余。4会場は応募ゼロのため開催できなかった。若い世代に敬遠される現状が浮かんだ一方、介護職ならではのやりがいを求めて参加した生徒もいる。(島将之)

 「地元にお年寄りは多いし、しゃべっとるのが好き」。飛騨市の特別養護老人ホーム・県立飛騨寿楽苑(えん)で21日にあったセミナーの唯一の参加者、吉城高校2年の野村瑞穂さん(17)。人数の少なさに「びっくりした」。職員と施設を見学し、入居者とリハビリ体操もした。

 昨年のセミナーをきかっけに寿楽苑で今春から働く高田真梨子さん(18)とも話した。「夜勤や朝の早番は大変だけど、お年寄りはちょっとしたことでありがとうって言ってくれる。やりがいはある」。高田さんは亡き祖父が入所したころに見舞いにも訪れていた。

 セミナーは人材確保に向けた県補助事業で、関市の中部学院大短期大学部が主催し、2年目。今夏は10会場に拡大したが、岐阜市内など多い施設でも3人どまり。応募ゼロは4会場で「カリキュラムを準備したのにショックだった」との声も。同大社会福祉学科の大井智香子准教授は「3K(きつい、汚い、危険)に代表される現場への誤解が多い。やりがいも多いが知られていない」。業界で若い人材が減少していると懸念する。

 全体的な人材不足も依然として課題で、厚生労働省所管の介護労働安全センターの調査では、昨年度の全国の介護の離職率は17%。「人材不足」との回答も57%超に達した。

 県は定着率向上につなげようと、高齢福祉課が来年冬、県内の介護職員を集めた初の交流会を企画する。技能のほかに現場の悩み、やりがいを共有する目的で、担当者は「現場のモチベーションを上げたい」と話す。

(2013年8月23日 中日新聞朝刊岐阜総合版より)
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