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お知らせ 2026.04.18
養護施設や里親から巣立った若者 ケアリーバー アプリで支える
■同朋大と中京大開発 支援者と交流、福祉情報も
社会的養護経験者(ケアリーバー)が児童養護施設や里親のもとを離れた後も支援者とのつながりを保てるよう、市内の同朋大と中京大がスマートフォンアプリを共同開発した。2027年春からの本格運用を目指し、全国の支援者同士が連携する態勢づくりを進めている。開発に携わった同朋大の宮地菜穂子准教授は「アプリをきっかけに、ケアリーバーへの息の長い支援に目を向けてほしい」と話す。(高島碧)
「きずなコネット」と名付けた招待制のアプリでは、施設長などが利用者管理を担う。施設職員や里親らが「支援者」として、ケアリーバーや、社会的養護を受けている子どもらと、チャット機能で個別にやりとりできる。個人の交流サイト(SNS)より、互いが安全で適切な距離を保てる利点もある。
児童養護施設の児童指導員を務めていた宮地さんによると、ケアリーバーは孤立や経済的な問題を抱えやすい。アプリでは、支援者らとの接点だけでなく、地域の社会資源や支援の情報も提供する。
例えば、ケアリーバーが住んでいる自治体をアプリに登録すると、支援団体から地域の食料配布などの案内が届く。心身の健康度を測る質問に定期的に答え、必要に応じて医療や福祉の窓口を紹介してもらえる。
宮地さんが危機感を抱いたきっかけは、国がケアリーバー対象に初めて実施した20年度の実態調査。施設や里親を通じて調査の案内を配ったところ、対象者の約3分の1にしか渡らなかったと知った。
しかし、子どもらはアフターケアを望んでいるという。
宮地さんが23年に愛知県内の児童養護施設に入所する高校生ら157人を対象に行った調査では、78%が退所後のケアを希望。一方で「多忙な職員に心配をかけたくない」と支援を求めることをためらう声もあった。施設によっては職員の入れ替わりが激しく、ケアリーバーへの支援にも温度差がある実態も判明。宮地さんは「特に進学や引っ越しといった不安の多い移行期の孤立を防ぎたい」とアプリの狙いを語る。
浜松市を拠点にケアリーバーらを支援する市民団体「のあん」の野末鈴菜代表は、家族や親族に頼れないケアリーバーが困難に直面するのは妊娠や子育ての時だと指摘し、「ピンチの時に頼れるお守りのようなアプリになる」と期待を寄せる。
ケアリーバー
社会的養護のケアを離れた子どもや若者。里親への委託や児童養護施設の入所は原則18歳で解除となる。2020年度の国の調査によると、ケアリーバーの半数以上が1人暮らし。退所直後の進路は就労が53%と最も多く、進学は36%。困った時の相談相手は「施設の(元)職員」が37%で最多だった。国は04年度の児童福祉法改正で施設にケアリーバーの相談支援を定めた。24年度には、ケアリーバーの相談支援を強化する「社会的養護自立支援拠点事業」も始まった。
(2026年4月18日 中日新聞朝刊市民版より)
社会的養護経験者(ケアリーバー)が児童養護施設や里親のもとを離れた後も支援者とのつながりを保てるよう、市内の同朋大と中京大がスマートフォンアプリを共同開発した。2027年春からの本格運用を目指し、全国の支援者同士が連携する態勢づくりを進めている。開発に携わった同朋大の宮地菜穂子准教授は「アプリをきっかけに、ケアリーバーへの息の長い支援に目を向けてほしい」と話す。(高島碧)
「きずなコネット」と名付けた招待制のアプリでは、施設長などが利用者管理を担う。施設職員や里親らが「支援者」として、ケアリーバーや、社会的養護を受けている子どもらと、チャット機能で個別にやりとりできる。個人の交流サイト(SNS)より、互いが安全で適切な距離を保てる利点もある。
児童養護施設の児童指導員を務めていた宮地さんによると、ケアリーバーは孤立や経済的な問題を抱えやすい。アプリでは、支援者らとの接点だけでなく、地域の社会資源や支援の情報も提供する。
例えば、ケアリーバーが住んでいる自治体をアプリに登録すると、支援団体から地域の食料配布などの案内が届く。心身の健康度を測る質問に定期的に答え、必要に応じて医療や福祉の窓口を紹介してもらえる。
宮地さんが危機感を抱いたきっかけは、国がケアリーバー対象に初めて実施した20年度の実態調査。施設や里親を通じて調査の案内を配ったところ、対象者の約3分の1にしか渡らなかったと知った。
しかし、子どもらはアフターケアを望んでいるという。
宮地さんが23年に愛知県内の児童養護施設に入所する高校生ら157人を対象に行った調査では、78%が退所後のケアを希望。一方で「多忙な職員に心配をかけたくない」と支援を求めることをためらう声もあった。施設によっては職員の入れ替わりが激しく、ケアリーバーへの支援にも温度差がある実態も判明。宮地さんは「特に進学や引っ越しといった不安の多い移行期の孤立を防ぎたい」とアプリの狙いを語る。
浜松市を拠点にケアリーバーらを支援する市民団体「のあん」の野末鈴菜代表は、家族や親族に頼れないケアリーバーが困難に直面するのは妊娠や子育ての時だと指摘し、「ピンチの時に頼れるお守りのようなアプリになる」と期待を寄せる。
ケアリーバー
社会的養護のケアを離れた子どもや若者。里親への委託や児童養護施設の入所は原則18歳で解除となる。2020年度の国の調査によると、ケアリーバーの半数以上が1人暮らし。退所直後の進路は就労が53%と最も多く、進学は36%。困った時の相談相手は「施設の(元)職員」が37%で最多だった。国は04年度の児童福祉法改正で施設にケアリーバーの相談支援を定めた。24年度には、ケアリーバーの相談支援を強化する「社会的養護自立支援拠点事業」も始まった。
(2026年4月18日 中日新聞朝刊市民版より)