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学生活動  2025.05.17

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幅広く発信 管理栄養士の魅力 春日井 中部大が定員割れ解消へ奮闘

来春に管理栄養士の国家資格取得を目指す高橋さん(左)と指導する香西さん=春日井市松本町の中部大で

来春に管理栄養士の国家資格取得を目指す高橋さん(左)と指導する香西さん=春日井市松本町の中部大で

 県内に13ある管理栄養士養成施設の一つ、春日井市の中部大。応用生物学部食品栄養科学科に専門の「管理栄養科学専攻」を設けて16年目となるが、この5年ほどは定員割れに直面している。インスタグラムで企業とメニューの共同開発といった課外活動の写真もふんだんに掲載し、受験を検討する高校生らにアピール。小中学生や保護者にも対象を広げ、今夏には名古屋市内で開かれる科学体験のイベントにブースを出展する予定だ。仕事の役割や魅力を幅広く伝え、人気アップを目指す。(牧真一郎)

■SNSで課外活動紹介 科学体験イベント出展

 管理栄養士と栄養士は栄養士法で定めた国家資格。管理栄養士は、病気や高齢で食事がとりづらい人も含めて一人一人の状況に合わせて栄養指導や栄養管理をする重要な役割を担っている。病院や社会福祉施設、行政機関、食に関わる企業などで勤務する。前回シリーズのNHK朝ドラ「おむすび」でも取り上げられ、注目を集めた。

 管理栄養士は4年制大学で学んだ学生が受験し、全体の合格率は約5割。食への関心の高まりを受けて中部大は2010年度に管理栄養科学専攻を設けた。定員は最初の4年間は40人、その後に80人に倍増した。

 現在の在籍数は計251人。総合大学という環境もあり、そのうち男子は69人と3割近くいて、他の大学よりも割合がかなり多い。どの学年も定員80人に満たず、2年生は52人、今春入学した1年生は60人だ。

 担当の講師で自身も管理栄養士の香西はなさん(47)は「当初は人気があり、定員40人のところ60人が在籍したこともあった。全国的に栄養分野は人気が低迷し、定員割れに悩んでいるところも多い」と話す。その理由について「栄養は食べてからすぐに効果が出るわけではなく、タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する今の傾向には少しそぐわないかも。管理栄養士は一般的に給料が低く、待遇面で敬遠する傾向もあるようだ」と見る。

 危機感を抱く教員らは2年ほど前から、同専攻のインスタグラムに授業や課外活動の様子などを写真や記事で積極的にアップ。特に学生がスーパーや料理店、自治体などと協力して地域の特産品を使った弁当やメニューを共同開発する機会を増やし、社会とのつながりをアピールする。目を輝かせる学生たちの表情からは達成感も伝わっている。

 高校生だけでなく、小中学生や保護者にも伝える取り組みも始めた。昨年12月には春日井市内の小学1~3年生を対象とした中部大のスポーツ体験イベントに合わせて開いた保護者向けの栄養教室で2、3年生が「上手に野菜を摂(と)ろう」「成長期の食事と牛乳」をテーマに講師を務め、教員による相談会も実施した。

 名古屋市守山区のなごやサイエンスパークで8月2日、小中学生や高校生向けに開かれる「なごや・サイエンス・ひろば2025」の科学実験・体験ブースに初出展する予定だ。

 来春の国家試験に向けた受験勉強と並行し、食関係の企業を目指して就活中の4年生高橋玲菜さん(21)=岐阜県土岐市=は「レシピコンテストに参加したりして、管理栄養士ではない方からアドバイスをもらうなど、味や栄養以外にも気を配れるようになった。学生時代の経験は社会人になってからも役に立つはず」と魅力を話す。

 青年海外協力隊員としてアフリカ南部ザンビアで栄養指導した異色の経歴を持つ香西さんは「食糧難の戦後とは違って、今は過剰栄養による隠れ肥満など別の問題も。健康寿命の大切さが言われる中、『食べて治す』を実践して入院日数を減らせば医療費抑制にもつながり、やりがいのある仕事だと思う。何をやっているのかをわかりやすく伝えて、少しでも興味を持ってもらいたい」と意気込む。

(2025年5月17日 中日新聞朝刊近郊版より)
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