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スポーツ  2025.03.17

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バスケに似たスポーツ ネットボール 南山大生が発信

ポジションが記されたゼッケンを着け、熱戦を繰り広げる大会参加者=名古屋市昭和区の南山大で

ポジションが記されたゼッケンを着け、熱戦を繰り広げる大会参加者=名古屋市昭和区の南山大で

■授業きっかけ 学生の全国大会 「楽しさ知って」

 バスケットボールに似た海外発祥のスポーツ「ネットボール」を国内で広めようと、南山大(名古屋市昭和区)で全国規模の学生大会が続けられている。2月の大会には関東・関西などから22の大学・高等専門学校の学生が参加。老若男女親しみやすい競技だが、国内での認知度は低く、学生を中心に裾野を広げる取り組みが名古屋から生まれている。(小林大晃)

 2月24日の南山大メインアリーナ(第1競技場)。初心者から経験者まで全国から集まった学生62人が、指導する社会人らとともに男女混合6チームに分かれ、熱戦を繰り広げていた。

 一見するとバスケに近いが、各ポジションで動ける範囲が決まっており、前へつなぐ手段はパスのみ。ドリブルはできず、自陣のゴール前から最前線へのロングパスも反則になる。ボールを持った相手選手への接触も禁止だ。距離を詰め過ぎると「近いよ、離れて」と審判から注意が飛ぶ。

 大会を企画した一人、外国語学部2年の野村武司さん(20)は「強い人が一人いるだけでは勝てない。チームワークが大事なんです」と競技の醍醐味(だいごみ)を語る。大会は昨年9月に初めて開かれ、今年2月が2回目。きっかけは、南山大の必修科目「基礎体育」の授業にネットボールが組み込まれていたことだった。

 高校までバスケに取り組んでも大学の部活はハードルが高く感じてしまう学生は多い。同大体育教育センターの飯田祥明准教授(39)が「大学でバスケをやめてしまう学生の選択肢」として2021年ごろから本格的に授業で取り入れると、受講生が「授業以外でもやりたい」と22年に「南山ネットボールチーム」の結成に発展。翌23年、同大以外の学生や社会人も参加できる「名古屋ネットボールクラブ」が誕生した。

 大会は競技の普及を学生主体で進める目的で生まれた。名古屋ネットボールクラブの代表を務める野村さんも競技と出合ったのは1年半前。「まずは楽しさを知ってもらいたい」と大会に込めた思いを明かす。同じく企画に携わった外国語学部3年でネットボール女子日本代表の市川紗椰さん(21)も競技の知名度アップに向け「学生同士の交流を深めたい」と話す。

 今年に入って「日本学生ネットボール協会」も立ち上がり、普及への機運は高まりつつある。大会も13大学約50人が参加した第1回から大学数、人数ともに増えた。開催場所も「競技が盛んな東京都や群馬県など各地で」と野村さんの構想は膨らむ。

 大会では、同じくバスケに似たオランダ発祥のスポーツ「コーフボール」も開催。激しい接触がなく、競技の特性上、ネットボールとともに老若男女が生涯スポーツとして楽しめるという。野村さんは「長く続けられる競技として、好きなスポーツを見つけるきっかけにもなれば。それがネットボールならうれしい」と期待を込める。

■ネットボール

 日本ネットボール協会によると、1890年代に女性向けバスケットボールとして英国で誕生。コートは三つに区切られ、1チーム7人で戦う。選手は「GS(ゴールシューター)」「GD(ゴールディフェンス)」などポジションを示すゼッケンを着ける。80を超える国・地域に広がり、競技人口は2千万人以上。1999年から日本選手権も開かれ、女子は日本代表がアジア選手権に出場。男子も日本代表が今年結成される。

(2025年3月17日 中日新聞朝刊市民版より)

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