HOME > 中日新聞掲載の大学記事 > 学生活動
学生活動 2022.07.13
この記事の関連大学
命救った防火服 新たな命を 年200着廃棄 障害者がバッグに再生
■大学生とコラボ考案中 数分で完売、1日 熱田で再販
耐用年数を過ぎ、廃棄予定となった名古屋市消防局の深緑色の防火服を、市内の障害者施設の利用者が斜めがけバッグにリメークした。地域のイベントで限定販売したところ、すぐさま完売する人気ぶりで障害者のやりがいにもつながっている。施設では第2弾として、地元の大学生とも協力して消防ホースや紺色の制服なども使った商品を考案中だ。(篠塚辰徳)
リメークを手がけたのは、社会福祉法人「名古屋市身体障害者福祉連合会」の名身連第1ワークス(同市熱田区)を利用する若尾里加さん(58)=同市名東区。バッグのサイズは縦20~25センチ、幅16センチ、マチ7センチで、「消防」と書かれたワッペンや反射材をワンポイントにデザインし、内と外にポケットを付けた。防火服の素材は難燃性で高い強度を誇るアラミド繊維のため、頑丈さが売りという。
同消防局は年間約200着の防火服を処分しており、廃棄品の買い取り業者を見つけられずにいた時に、名身連にリメークを提案。昨年1月、名身連に届いた数十着の防火服で試作を重ね、今年4月に斜めがけバッグが完成した。
1個4800円。熱田区の熱田神宮内で毎月1日に開催される出店イベント「あつた朔日(ついたち)市」で5月1日に限定6個を用意すると、交流サイト(SNS)で情報を得た人が列を作り、数分で完売した。次回は同所で8月1日に約10個を販売予定。
若尾さんは「こんなに人気になるとは思わず驚きました。作るのはとっても楽しいです」と声を弾ませた。最近は消防隊員を見ると、「頑張っているこの人たちの服をリメークしているんだ、とひそかにどきどきしています」という。
不用品に手を加え、付加価値のあるものに作り替える取り組みは「アップサイクル」と呼ばれ、持続可能な開発目標(SDGs)の普及とともに注目を集めている。
消防局のアップサイクル企画に、名身連と以前からつながりのある名古屋学院大(熱田区)の学生たちも参加している。今月5日、第2弾の商品化アイデアを、学生35人が10グループに分かれて発表した。防火服のほか、消防ホースや紺色の消防の制服も素材に加え、ランドセルカバーやエプロン、園芸用品など20の商品を提案した。
名身連第1ワークスの椎葉林蔵(しいばりんぞう)所長(64)は「とても良いものができあがりそう。ワクワクしています」と話す。第2弾の商品は「防災の日」の9月1日に熱田神宮でお披露目する予定という。
■広がるアップサイクルの輪
名古屋市消防局はこれまでも市内の企業と連携し、防火服のアップサイクルに取り組んできた。今年3月には、アウトドアグッズや服飾雑貨の製造販売「ギャレット」(北区)とコラボし、防火服の耐火、耐水性を生かしたキャンプ用品に作り替えた。
鉄のフライパンを持つための厚手のグローブや鍋敷きなどに使える「ミトンケース」は、今年3月にインターネットで販売すると1カ月で数十個が売り切れる好評ぶりだった。
新たに名身連と名古屋学院大との計画が進んでいることに、同局の担当者は「障害者の方のやりがいにもなり、学生の若い感性を生かす場にもなる。温かい輪が広がっている」と語る。
(2022年7月13日 中日新聞夕刊7面より)
耐用年数を過ぎ、廃棄予定となった名古屋市消防局の深緑色の防火服を、市内の障害者施設の利用者が斜めがけバッグにリメークした。地域のイベントで限定販売したところ、すぐさま完売する人気ぶりで障害者のやりがいにもつながっている。施設では第2弾として、地元の大学生とも協力して消防ホースや紺色の制服なども使った商品を考案中だ。(篠塚辰徳)
リメークを手がけたのは、社会福祉法人「名古屋市身体障害者福祉連合会」の名身連第1ワークス(同市熱田区)を利用する若尾里加さん(58)=同市名東区。バッグのサイズは縦20~25センチ、幅16センチ、マチ7センチで、「消防」と書かれたワッペンや反射材をワンポイントにデザインし、内と外にポケットを付けた。防火服の素材は難燃性で高い強度を誇るアラミド繊維のため、頑丈さが売りという。
同消防局は年間約200着の防火服を処分しており、廃棄品の買い取り業者を見つけられずにいた時に、名身連にリメークを提案。昨年1月、名身連に届いた数十着の防火服で試作を重ね、今年4月に斜めがけバッグが完成した。
1個4800円。熱田区の熱田神宮内で毎月1日に開催される出店イベント「あつた朔日(ついたち)市」で5月1日に限定6個を用意すると、交流サイト(SNS)で情報を得た人が列を作り、数分で完売した。次回は同所で8月1日に約10個を販売予定。
若尾さんは「こんなに人気になるとは思わず驚きました。作るのはとっても楽しいです」と声を弾ませた。最近は消防隊員を見ると、「頑張っているこの人たちの服をリメークしているんだ、とひそかにどきどきしています」という。
不用品に手を加え、付加価値のあるものに作り替える取り組みは「アップサイクル」と呼ばれ、持続可能な開発目標(SDGs)の普及とともに注目を集めている。
消防局のアップサイクル企画に、名身連と以前からつながりのある名古屋学院大(熱田区)の学生たちも参加している。今月5日、第2弾の商品化アイデアを、学生35人が10グループに分かれて発表した。防火服のほか、消防ホースや紺色の消防の制服も素材に加え、ランドセルカバーやエプロン、園芸用品など20の商品を提案した。
名身連第1ワークスの椎葉林蔵(しいばりんぞう)所長(64)は「とても良いものができあがりそう。ワクワクしています」と話す。第2弾の商品は「防災の日」の9月1日に熱田神宮でお披露目する予定という。
■広がるアップサイクルの輪
名古屋市消防局はこれまでも市内の企業と連携し、防火服のアップサイクルに取り組んできた。今年3月には、アウトドアグッズや服飾雑貨の製造販売「ギャレット」(北区)とコラボし、防火服の耐火、耐水性を生かしたキャンプ用品に作り替えた。
鉄のフライパンを持つための厚手のグローブや鍋敷きなどに使える「ミトンケース」は、今年3月にインターネットで販売すると1カ月で数十個が売り切れる好評ぶりだった。
新たに名身連と名古屋学院大との計画が進んでいることに、同局の担当者は「障害者の方のやりがいにもなり、学生の若い感性を生かす場にもなる。温かい輪が広がっている」と語る。
(2022年7月13日 中日新聞夕刊7面より)