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お知らせ  2021.12.21

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「発光生物が光る謎」へご招待 大場・中部大教授が本出版

著書を手に「発光生物の研究を以前のように盛り上げたい」と話す大場教授=春日井市の中部大で

著書を手に「発光生物の研究を以前のように盛り上げたい」と話す大場教授=春日井市の中部大で

 ホタルやキノコなどの「発光生物」を20年にわたり研究する中部大(春日井市)の大場裕一教授(51)が、光る仕組みや研究の歴史などを紹介した本「光る生き物の科学-発光生物学への招待」(日本評論社)を出版した。大場教授は「発光の仕組みは生き物ごとに違う。まだまだ面白い現象がある」と、発光の不思議の先へ案内する。(出口有紀)

■仕組みや研究史紹介 「若い人に踏み込んでもらえたら」

 著作では、1万種はいるとみられる発光生物が、なぜ光るようになったかという進化の研究を軸に、発光の仕組みや光の役割などを体系的に考える「発光生物学」を提唱。光るのは化学反応で、生物が自力で反応物質を合成するほか、光る仕組みは千差万別で、まだほとんど解明されていないことなどを紹介している。

 現在のホタルの遺伝情報を用い、1億年前のホタルが放っていたと考えられる緑色の光を再現した最新研究も掲載。従来は、生態や発光メカニズム、光の役割などの分野でそれぞれ研究が進められてきた歴史にもページを割いている。

 名古屋大でも、故下村脩・同大特別教授が発光生物の研究をするなど「特に1980年代は国内外で研究が盛んだった」と大場教授。オワンクラゲから緑色蛍光タンパク質を見つけた業績が医学などへ応用され、下村さんは2008年にノーベル化学賞を受賞した。だが、発光生物の研究は「今ははやらなくなった」と残念がる。このため、若い研究者にこういう分野があることを、知って、目指してもらおうと、筆を執ったという。

 執筆に3年かける中で、1900年ごろの論文を読み返し、当時は光る可能性がある生き物がたくさんいたことを知った。「昔の人は周りが暗かったからか、たくさんの光る生き物を観察しており、調べたいアイデアがいっぱい出てきた。若い人たちに、もう一歩、発光生物に踏み込みたいと思ってもらえたら」と話す。A5判、232ページ。3520円(税込み)

(2021年12月21日 中日新聞朝刊県内総合版より)

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