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お知らせ 2025.11.06

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名古屋経済大学高蔵高等学校

瑞穂区・秋葉神社 大提灯 11年ぶり明かり 名経大高蔵高生 組み立てに一役

名経大高蔵高生の力も借り、11年ぶりに組み立てられた大提灯=瑞穂区瑞穂通1の秋葉神社で

名経大高蔵高生の力も借り、11年ぶりに組み立てられた大提灯=瑞穂区瑞穂通1の秋葉神社で

 瑞穂区の瑞穂通商店街にある秋葉神社の秋祭りで、かつて引き回されていた大提灯が11年ぶりに組み立てられ、久々に明かりがともった。地域の人間関係の希薄化や氏子の高齢化もあって組み立て方の継承さえ危ぶまれる状態となったが、地元高校生たちの力を借り、引き回しの復活に望みをつないだ。(小林大晃)

 「二度と日の目を見ないと思っていた」。神社の境内で組み立てが始まった10月28日、地域で唯一、組み立て方を熟知する氏子の千村栄豊さん(75)が感慨深そうに語った。

 直径約1.5メートル、高さ約2.5メートルで屋根も含めれば3メートル以上となる大提灯。山車に載せての引き回しは、五穀豊穣(ごこくほうじょう)や地域の安全を願い、地元の小中学生が引き手を務める恒例行事だった。千村さんによると少なくとも50年は続き、最盛期は50人以上の子どもが太鼓や鈴を打ち鳴らしながら、かけ声を合わせたという。

 神社のある汐路学区は人口が増加傾向にあるが、学区外からの新世帯の流入で住民同士のつながりは徐々に薄れ、祭りに関係する町内では子ども会が全て解散。氏子は高齢化が進み、高所作業を伴う組み立ては年々負担感が増した。引き回しは2014年を最後に中止され、大提灯は解体された状態で社務所の倉庫に眠ったままとなっていた。

 今回の作業のきっかけを与えたのが、商店街近くに校舎を構える名古屋経済大高蔵高校だ。学びの場を広げようと今年に入って商店街との連携を深め、商業科の生徒たちでつくる部活動「ビジネス同好会」が菓子店との商品開発に奮闘する。さらに協力できることはないかと商店街側と話し合う中で、大提灯が話題に上がった。

 ステンレス製の大枠にベニヤ板と竹ひごで骨格が作られている大提灯の組み立てには、ビジネス同好会のほか、柔道部やボクシング部の力自慢も加わり、20人余が部材の状態も確かめながら氏子と作業を進めた。てきぱきと力仕事をこなす生徒の姿を、千村さんは「今の若い人たちを見直した」と頼もしげに見つめた。

 組み立て方の継承にも、生徒たちは一役買う。ビジネス同好会の部員がスマートフォンで作業風景を撮影し、アーカイブ化。商店街に隣接する市博物館や、イベントなどで上映してもらえるよう働きかけている。

 10月30日。大提灯が再び姿を見せ、生徒や氏子、商店街の店主らの前で明かりがともされた。商店街振興組合の山田克哉理事長(67)は「大提灯の復活が商店街活性化のシンボルになれば」と期待した。

 引き回し再開のめどは立っていないが、ビジネス同好会の2年生(17)は「眠ったままではもったいない。ここまで関わったら引き回しにも参加したい」。意欲的な声に、氏子総代の永井宏明さん(60)も「復活もなんとかしないと」と、突き動かされた様子だった。

(2025年11月6日 中日新聞朝刊市民版より)
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