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高校野球 2025.07.28

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豊橋中央高等学校

全国高校野球愛知大会 決勝 豊橋中央 三河に栄冠

東邦を破って優勝し、スタンドに向かって喜ぶ豊橋中央ナイン=岡崎レッドダイヤモンドスタジアムで

東邦を破って優勝し、スタンドに向かって喜ぶ豊橋中央ナイン=岡崎レッドダイヤモンドスタジアムで

 第107回全国高校野球選手権愛知大会の決勝が27日、岡崎レッドダイヤモンドスタジアムであり、豊橋中央が東邦を決勝初となる延長11回タイブレークの末、6-5で破って初の頂点に立った。春夏通じて初の甲子園出場。東三河地区の高校では1975年の第57回大会で優勝した国府(豊川市)以来50年ぶり。豊橋市内の高校では1951年の第33回大会を制した豊橋商以来74年ぶり。9年ぶりの夏の甲子園を目指した東邦は9回の土壇場で追いつく粘りを見せたが、最後に涙をのんだ。

 豊橋中央が延長11回タイブレークの激闘を制し、東邦に競り勝った。

 豊橋中央は1点を追う3回、2死一、二塁から守備の乱れに乗じて2点を奪い逆転。追いつかれて同点で迎えた11回、四球で無死満塁の好機を築き、松井の中前打で2点を勝ち越し、重盗で1点を加えた。投げては髙橋が11回、149球を投げ抜いた。

 東邦は9回、連打で1死一、二塁から敵失に乗じて同点に追いつき、11回も金本誠の左中間を破る適時二塁打で2点を返したが、あと一歩及ばなかった。

■殊勲打と好捕で魅せた 松井選手 強豪撃破の原動力

 9回の土壇場に失策が絡んで東邦に追いつかれ、決勝初の延長タイブレークにもつれ込んだ激闘。相手に傾きかけた流れを再び引き寄せたのは、豊橋中央の松井選手(3年)の殊勲打と好捕だった。

 「お前らしく普段通りに行け」。萩本将光監督からそう送り出された。11回訪れた無死満塁の絶好機。「ここしかない」。真ん中低めのカーブを力まずに中前へと運び、勝ち越しの適時打に。ベンチに向けて塁上でガッツポーズした。

 守備でも魅せた。10回一、二塁。東邦の4番中山選手(同)のバントが三塁側ファウルゾーンに上がり、ダイビングキャッチ。「自分のところに来いと思っていた」。小学生の頃からバッテリーを組むエースの髙橋投手(同)の熱投に応える好守だった。

 昨夏も正捕手で出場したものの、試合中に右足骨折の重傷を負い、準々決勝は出場できず、チームも敗退。春の県大会は東邦に「自分のミスで負けた」。悔しさを胸に「県内一きつい練習」を乗り越え、「私学4強」の東邦、愛工大名電を撃破。豊橋中央として初めて、東三河勢で半世紀ぶりの夏の甲子園出場をなし遂げる原動力となった。

 勝利を決めた直後、髙橋投手と熱い抱擁を交わした松井選手。「甲子園は小さいころから2人にとっての夢」。かなえた夢舞台に向かう気負いは全くない。「見ている人を喜ばせる『中央野球』で甲子園も勝ち進みたい」 (小林大晃)

■全力プレーでチームけん引 砂田主将

 2度のヘッドスライディングでチームに勝利を呼び込んだ。「絶対セーフになってやろうと夢中だった」。豊橋中央の砂田主将(3年)は泥だらけのユニホームで胸を張った。

 3回、内野ゴロで一塁に飛び込んで相手の失策を誘い、逆転につなげた。延長11回は三塁走者として重盗を仕掛け、貴重な6点目を挙げた。9回に追いつかれる苦しい展開の中、自らの全力プレーでチームをけん引した。

 1年夏からレギュラーに抜てきされるも、昨夏は打撃不振でベンチ外。「誰よりも悔しさを知っているから」と主将に任命された。

 「凡打でも常に全力疾走」。そうチームに言い聞かせてきた。「当たり前のことをしていれば、必ず良い方向に向いてくれるから」。何度もはね返されてきた「私学4強」を破っての甲子園。快挙をたぐり寄せた全力プレーを貫き、観客を沸かせるつもりだ。 (高木健吾)

■地元から喜びの声

 豊橋市の学校として1951年の豊橋商以来74年ぶりの甲子園出場を決めた豊橋中央。地元からも喜びと激励の声が上がった。

 優勝を知った藤城さん(79)は「豊橋の若い子が東邦、愛工大名電に勝ってすごい」と驚きながら喜び「甲子園での行進も楽しみ」と活躍を期待。市勢74年ぶりの甲子園出場と聞いた会社員の板谷さん(60)は「めったにないことだからテレビで応援したい」と笑顔を見せた。

 球場で応援していたという市内の中学3年生(15)は「エースの髙橋君がかっこよかった」と興奮冷めやらぬ様子。「けがに気を付けながら甲子園も投げ抜いて優勝してほしい」とエールを送った。

■憧れ倒し自信ついた 豊橋中央・萩本将光監督

 めちゃくちゃ楽しかった。「ちゅうちょするな」と選手には伝えた。昨年と今年の代で甲子園に行くと決めていたので、まぐれで勝ったわけではない。憧れの高校を倒して自信が付いたと思う。甲子園でも目の前の一戦を大切にしたい。

■甲子園楽しくプレー 豊橋中央・砂田主将

 自分たちは「超ポジティブ軍団」。9回に同点に追いつかれた時も、自分たちならできるという思いが最後の良い結果につながった。甲子園では観客を楽しませ、自分たちも楽しくプレーする「中央野球」を見せたい。

豊橋中央 00201000003|6
東邦 10000000202|5
(延長11回タイブレーク)
(豊)髙橋-松井
(東)久田、運天、田村-中山

(2025年7月28日 中日新聞朝刊県内版より)
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