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お知らせ 2019.06.25
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口唇口蓋裂 治ります 愛知学院大、エチオピアで冊子 赤ちゃん「間引き」防止
国内外で口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)の治療に取り組む愛知学院大の医師がアフリカ・エチオピアで、患者の治療や育児の方法などを説明した現地語版の冊子を配った。世界最貧国の一つとされる同国では、現在も病気や障害のある子を出産直後に殺す「間引き」の存在が指摘される。「口唇口蓋裂は治療可能で、健康に育てられることを知らせたい」と啓発に意欲を示す。(安田功)
執筆したのは、愛知学院大歯学部の夏目長門教授(62)。日本口唇口蓋裂協会(名古屋市)の常務理事を務め、発展途上国の子どもらを対象にした無償手術事業で中心的な役割を担う。
エチオピアでの事業は11年前から。その際、現地の医師らから「出産して障害や病気が分かると、たまに間引きが行われる」と聞かされた。詳しい実態は不明だが、医療水準の低さと将来への不安が背景にあるとみられる。
夏目教授によると、現地の口唇口蓋裂の発症率は、1000人に1人程度。一般的には、乳児期とその後の修正手術などで、健康な子どもとほとんど変わらない状況まで治る。だが、発展途上国では手術の技量を持った医師が少なく、市民の間でも「一生治らない」との誤解も根強いという。
冊子は以前、夏目教授らが国内の患者家族の不安を和らげるために出版した本を、知人のアディスアベバ大の教員にエチオピアの現地語に訳してもらい1000部作製。A4判に治療手順などを記した内容のほか、ミルクをあげる際、日本で使われる特殊な哺乳瓶ではなく、スプーンも代用できるなど、現地の現状に沿った方法を紹介している。
口唇口蓋裂協会のメンバーらが2月下旬から10日間、無償手術のために訪れた中部のブタジラの病院などで、患者家族や医師らに配布した。病院の壁には、間引きの防止を訴える啓発ポスターも張った。
夏目教授は「アフリカでは医療体制の不備と、病気への無知が目立つ。現地の医師らに対する技術支援を進めながら、親が安易に間引きを選択しないように呼び掛けたい」と話す。
■口唇口蓋裂
染色体異常で顔を形成する機能が十分に働かず、上唇や上あごが裂けた状態で生まれる先天性疾患。日本では500人に1人程度の割合で出生するとされる。治療しなければ、食事の摂取や発音などで障害が出る。
(2019年6月25日 中日新聞朝刊24面より)
執筆したのは、愛知学院大歯学部の夏目長門教授(62)。日本口唇口蓋裂協会(名古屋市)の常務理事を務め、発展途上国の子どもらを対象にした無償手術事業で中心的な役割を担う。
エチオピアでの事業は11年前から。その際、現地の医師らから「出産して障害や病気が分かると、たまに間引きが行われる」と聞かされた。詳しい実態は不明だが、医療水準の低さと将来への不安が背景にあるとみられる。
夏目教授によると、現地の口唇口蓋裂の発症率は、1000人に1人程度。一般的には、乳児期とその後の修正手術などで、健康な子どもとほとんど変わらない状況まで治る。だが、発展途上国では手術の技量を持った医師が少なく、市民の間でも「一生治らない」との誤解も根強いという。
冊子は以前、夏目教授らが国内の患者家族の不安を和らげるために出版した本を、知人のアディスアベバ大の教員にエチオピアの現地語に訳してもらい1000部作製。A4判に治療手順などを記した内容のほか、ミルクをあげる際、日本で使われる特殊な哺乳瓶ではなく、スプーンも代用できるなど、現地の現状に沿った方法を紹介している。
口唇口蓋裂協会のメンバーらが2月下旬から10日間、無償手術のために訪れた中部のブタジラの病院などで、患者家族や医師らに配布した。病院の壁には、間引きの防止を訴える啓発ポスターも張った。
夏目教授は「アフリカでは医療体制の不備と、病気への無知が目立つ。現地の医師らに対する技術支援を進めながら、親が安易に間引きを選択しないように呼び掛けたい」と話す。
■口唇口蓋裂
染色体異常で顔を形成する機能が十分に働かず、上唇や上あごが裂けた状態で生まれる先天性疾患。日本では500人に1人程度の割合で出生するとされる。治療しなければ、食事の摂取や発音などで障害が出る。
(2019年6月25日 中日新聞朝刊24面より)