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お知らせ  2018.08.15

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子の自閉症 AIが診断 中部大 イ助教 ソフト開発

実験に使う人型ロボットを前に「自閉症児のロボットセラピーは有効」と話すイさん=春日井市の中部大で

実験に使う人型ロボットを前に「自閉症児のロボットセラピーは有効」と話すイさん=春日井市の中部大で

 春日井市の中部大工学部ロボット理工学科のイ・ジェリョン助教(33)が、自閉症の子どもの表情や動きから症状を診断する人工知能(AI)のソフトウエアを共同開発した。市販の人型ロボットに組み込むと、心理療法セラピストのような診断が可能となり、将来的には自閉症の子どもの在宅治療での実用化も目指している。(丸山耀平)

 イさんは2014年から中部大に勤務。開発は米マサチューセッツ工科大、独アウクスブルク大と共同で16年から取り組んでいる。

 自閉症の子は自分の感情を表現したり、相手の感情をくみ取ったりすることが難しい。自宅療法ではセラピストが会話などを通じて症状の程度を判断し、精神発達を支援している。

 開発では、人型ロボット「NAO」に喜怒哀楽の4つの感情を動きで表現させ、それぞれの動きに対して自閉症の子どもがどう反応するかを実験した。ロボットには、子どもの反応を画像や音声、数値で読み取るソフトを組み込んだ。

 日本とセルビアで自閉症の子ども計35人をロボットと対面させる実験で、子どもの表情の変化や声、心拍数などのデータを蓄積し、症状を診断するソフトを作った。不安や悲しみの表情を読み取ると、ロボットが滑稽な動きで子どもの笑顔を誘い、心を落ち着かせる手順もソフトに組み込み、心理療法へのつなぎ役もできるようにしている。

 実証実験を繰り返すことで、ロボットに組み込んだソフトが診断する子どもの症状が、心理療法セラピストの判断と60%合致するようになった。AIがより正確で効率的な診断結果をだせるようになると、セラピストは診断業務の負担が軽減され、治療に力を注ぐことができるようになる。

 今後、精度を高めるために、さらに1年間かけて国内外の子どもたち100人の協力で実験を継続し、より多くの情報を収集してソフトに加えていく予定。

 イさんは「子どもたちは人よりもロボットに興味を持ちやすく、集中力も続く。精神状態の効果的な把握とセラピストの負担軽減につながると思う」と話している。

(2018年8月15日 中日新聞朝刊近郊総合版より)

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