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お知らせ  2020.08.24

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迫真の「患者役」 オンライン実習、劇団員出演 一宮・修文大看護学部

ビデオ会議システムで患者役の劇団員(右)に質問する学生=一宮市日光町の修文大で

ビデオ会議システムで患者役の劇団員(右)に質問する学生=一宮市日光町の修文大で

 看護学生の病院実習がコロナ禍で相次いで中止になる中、一宮市の修文大看護学部の相撲(すまい)佐希子准教授らが、密集状態を避けるためオンラインによる新しい実習に挑戦している。地元劇団に「患者役」を依頼。迫真の演技をする団員と、オンラインでのやりとりを通じ、少しでも医療現場に近い形で患者とのコミュニケーションを学んでもらう狙いだ。 (下條大樹)

 「皮膚がかさかさして、かいちゃって。それとすごくだるいの…」。学生が画面を通じ、体調を尋ねると、中年女性がけだるそうに体をかきながら答えた。3~6日、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を使って実施されたコミュニケーション能力を養う実習。2年生の学生100人が臨み、希望する学生は自宅にいながら参加した。

 患者役は一宮市を拠点に活動する「劇団シンデレラ」の団員ら4人。学生とは別の学内の部屋で、肝硬変や白血病を患う男女を演じた。学生たちがうまく言葉を引き出せないと、患者が無言になったり、酒を求めたりと、学生たちを困惑させる場面も。2年生の武田真央さん(19)は「患者への話し方や、話の聞き方を学んだ。経験は将来に生きてくると思う」と話した。

 看護師を目指す学生にとって座学だけではなく、医療現場での実習は重要なカリキュラムだが、感染拡大で全国的に中止や延期が相次ぐ。文部科学省は「学内実習などで代替してもよい」とするが、顔見知りの学生や教員が患者役を担うと、現実味に欠け、互いに照れてしまうなど学習効果が落ちる場合もある。

 そこで相撲准教授らが考えたのが、表現力にたけた劇団員に患者役を担ってもらうことだ。打診を受けた劇団シンデレラ側は「将来の医療従事者の役に少しでもなれるのならば」と快諾。コロナ禍で活動ができない劇団の収益にもなり、双方にメリットがある。団員らは事前に相撲准教授らと会議を重ね、特有の症状などを学び、患者の家族構成や性格なども綿密に打ち合わせたという。

 相撲准教授は「教育現場もコロナ時代に適応し、学生の学びの質を担保することが求められる。今回、学内や自宅で実際の実習に近い形で実施できた。今後に生かしていきたい」と評価している。

(2020年8月24日 中日新聞朝刊県内版より)

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