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高校野球 2019.06.21

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享栄高等学校

享栄・大藤監督挑む最初の「夏」 ライバル中京大中京から転身1年

享栄監督として最初の夏を迎える大藤敏行監督=愛知県瀬戸市の享栄グラウンドで

享栄監督として最初の夏を迎える大藤敏行監督=愛知県瀬戸市の享栄グラウンドで

◆全国高校野球選手権愛知大会29日開幕

 第101回全国高校野球選手権大会(8月6日から16日間)の甲子園代表を決める愛知大会が、29日に開幕する。東邦が今春のセンバツ大会で優勝するなど話題が多い愛知県で、クローズアップされそうなのが享栄の大藤敏行監督(57)だ。中京大中京監督として2009年夏の甲子園を制した大藤監督は、昨秋、享栄の監督に就任。最初の夏の戦いぶりに注目が集まる。

 誰もが驚く転身から1年。令和元年の夏が、大藤監督の新たなスタートとなる。「秋の県大会で2試合、春もこなして、やっと中京の時の感覚が戻ってきた。少しずつ、自信も出てきたところです」。充実の表情で、勝負の夏本番を見据えた。

◆袖通すのに30分

 2009年に堂林、磯村(ともに広島)らを擁し、夏の甲子園で優勝。翌年、監督を退任した後も高校日本代表のヘッドコーチなどを歴任した。そして昨年3月末。「もう一度、子どもたちと夢を追いたい」と、自身の高校、大学時代を含め約28年を過ごした梅村学園を離れ、享栄に移った。

 中京大中京と享栄は「私学4強」の一角として長年しのぎを削り合った関係。「禁断」とも言えるライバルへの転身は、大きな話題となった。「僕の人生」と割り切ったが、享栄の監督として迎えた最初の公式戦当日は、ユニホームに袖を通すのに30分もかかった。名刺を渡す際に、思わず「中京大中京の~」と言ってしまうこともある。「でも、ユニホームに違和感はもうない」。9年ぶりの夏は、「享栄の大藤」として堂々と挑む。

◆強豪と練習試合

 春夏19度の甲子園出場を誇る享栄は、00年春を最後に甲子園から遠ざかっている。古豪復活を目指し、大藤監督が改革に動いている。練習試合は以前は東海地区のチーム中心だったが、就任後は星稜や智弁和歌山、龍谷大平安など、全国の強豪と積極的に組んだ。「5、6月は甲子園を狙う学校と、ギリギリの勝負をしないと」と話す。

 「駒はそろってきた。しぶとさは、4強で一番あると思う」。春の県大会は4強入り。2年生左腕・上田や、バッテリーも組む双子の三島兄弟、注目遊撃手の河田ら、選手の能力は高い。シード校として挑む夏。甲子園春夏連覇を狙う東邦と同ブロックになったが、勝ち抜くチャンスはある。 (麻生和男)

 ▼大藤敏行(おおふじ・としゆき) 1962(昭和37)年4月13日生まれ、愛知県常滑市出身の57歳。愛知・中京高(現中京大中京)では内野手として甲子園出場。中京大では4年時に主将。大学卒業後は静清工(現静清=静岡)のコーチを5年半務め、1990年8月に母校監督就任。監督として甲子園に春5度、夏4度出場し、97年センバツで準優勝、2009年夏の甲子園で全国制覇。春夏甲子園で監督として通算19勝8敗。教え子に嶋基宏捕手(楽天)、堂林翔太内野手(広島)らがいる。

(2019年6月21日 中日スポーツ9面より)

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