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お知らせ 2021.08.19

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同朋高等学校

同朋高放送部の活動 一冊に 過労自殺テーマにドキュメンタリー制作

過労自殺を取材してきた放送部の活動を本にまとめた宮城さん(手前左)=中村区の同朋高で

過労自殺を取材してきた放送部の活動を本にまとめた宮城さん(手前左)=中村区の同朋高で

 過労自殺を題材にドキュメンタリー作品を制作してきた、同朋(どうほう)高校(中村区)放送部の活動をまとめた本「高校生・若者たちと考える過労死・過労自殺」(学習の友社)が出版された。著者で同部顧問の宮城道良さん(57)は「過労死や過労自殺について高校生なりに悪戦苦闘しながら考え、もがいた記録です」と語る。

 同校放送部は2016年、学内の勉強会で名古屋大大学院の石井拓児教授(教育行政学)の講演を聴いた。石井さんは社会問題を取り上げる中で、電通の新入社員だった高橋まつりさんが15年に自殺した事件などを挙げ、異常な労働環境の下で過労死や過労自殺が起きていると説明した。

 石井さんの話に衝撃を受けた生徒たちはその後、勤務先で激しい叱責(しっせき)を受けてうつ病を発症し、12年に自ら命を絶った市内の女性の遺族を取材。19年には、この取材を基に映像ドキュメンタリーを完成させた。今回の本では、石井さんの講演録やドキュメンタリー制作までのいきさつを紹介する宮城さんのエッセーのほか、高校生による遺族側代理人弁護士や遺族へのインタビューの記録も収録した。

 放送部は、沖縄戦を扱ったドキュメンタリー制作でも知られる。あとがきには「70数年前の戦争では、若者は国家に戦場で殺されたが、今、若者は企業に職場で殺されているのでは」という、ある生徒の声も載せた。この本の著者でもある石井さんは「高校生自身が社会の問題に切り込んでいく姿が一冊の本にまとめられている」と話した。

 A5判、136ページ。税込み1210円。(問)学習の友社=03(5842)5641

 (森若奈)

(2021年8月19日 中日新聞朝刊市民総合版より)
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