■三塁打２本でコールド発進に貢献

　愛知県大会が開幕し、愛工大名電は一宮に１０－０で５回コールド勝利。投打で今秋ドラフト候補に挙がる愛工大名電の田村投手（３年）が、公式戦で初めて「左投げの三塁手」としてスタメン出場し、三塁打２本の２安打１打点の活躍を見せた。

■高校通算２７発！

　今秋ドラフト候補が、型破りの「左投げ三塁手」で出場した。最速１４５キロの左腕、高校通算２７本塁打の強打者として注目を集める田村が公式戦で初めて「２番・三塁」でスタメンに名を連ねた。守備機会は５イニングで一度もなかったが、打っては三塁打２本で１打点。「チームはいいスタート。個人的には駄目。捉えきれなかった」。辛口評価だったが、スイングスピードは際立っていた。


■ケガで背番号５

　ケガの影響もあり、１年夏から背負ったエースナンバーではなく、今春は背番号５。試合前のノックでは巧みなグラブさばきからジャンピングスローを披露し、「やりたいと思ってやっている。（一塁へ）投げるのは逆になるけど、問題なくやっている」と強調した。

　一塁送球の際に体を開く必要があり、時間のロスが生じることから、通常は左投げ選手が一塁以外の内野を守ることはない。田村の場合は外野手のレギュラー３人が１、３、４番を打つ主力打者であることや、一塁手で打者走者と衝突するなどのリスクを避けるために三塁手を任されている。

　倉野光生監督（62）は「右投げの一塁手の併殺の動きと一緒。左だから困るということはない」と意図を説明した。

　プロで三塁手継続は現実的ではなさそうだが、中日・近藤スカウトは「（３回の右越え三塁打の）あの打球の高さは天性のもの」と長距離砲の素質を評価。ＤｅＮＡ・中川スカウトも「長打も打てて、打率も残せる。佐野のような選手」と自チームの４番と重ねた。
　「投手も打撃も好き。甲子園でサードも守ってみたい」と田村。左腕＆三塁手の変則二刀流を磨き、夏につなげるつもりだ。　（麻生和男）

▽１回戦（小牧市民）
愛工大名電　３５２００｜１０
一宮　０００００｜０
（５回コールドゲーム）

（愛）寺嶋、今福－藤山、秋葉
（一）大森、朝比奈－山田
本塁打　利光（愛）

（2021年4月11日　中日スポーツ9面より）