- この記事の関連校
- 中部大学第一高等学校
高校野球 夏季大会2020 仲間と勝ちたかった 中部大第一・吉川選手 唯一の打点で一矢

東邦-中部大第一 1回裏中部大第一1死満塁、中前適時打を放つ吉川選手=熱田愛知時計120スタジアムで
中部大第一の吉川斗真選手(3年)はチーム唯一の打点を挙げ、一矢報いた。コールド負けに「本当に悔しい」と、試合を振り返りながら何度も繰り返した。
先輩と一緒に主力の1人として試合に出場してきたが、昨年春から1年間、ヘルニアの治療で実戦から遠ざかった。スタンドから応援した昨春の県大会。春の甲子園を制した直後の東邦に2回戦で勝利し、「野球王国・愛知」の頂点に立った。
離脱していなければグラウンドで喜びを分かち合えたはず。募る思いを胸にリハビリを繰り返し、ようやく復帰。今大会の組み合わせ抽選で、東邦との対戦が分かると心に誓った。「自分が貢献して勝つ」
1回裏1死満塁、狙っていた直球を中前にはじき返した。この日は2安打1打点。守っては、プロ注目の強打者の打球を手堅くさばいた。もがいた分の鬱憤(うっぷん)を晴らしたように見えた。
でも、喜べなかった。普段は冗談を言う周りの選手らは試合後、ベンチで悔し涙をこぼしていた。「チームが活躍した試合も、厳しい練習も一緒だった仲間と勝ちたかった」 (鈴鹿雄大)
(2020年7月20日 中日新聞朝刊県内版より)