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高校野球 スポーツ  2026.03.30

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中京大学附属中京高等学校

選抜高校野球 中京大中京 一歩届かず  準決勝 惜敗 

惜しくも敗れ、あいさつに向かう中京大中京ナイン=甲子園球場で

惜しくも敗れ、あいさつに向かう中京大中京ナイン=甲子園球場で

 アルプスの大声援を背に目指した決勝進出に、あと一歩届かなかった。甲子園球場で開かれている第98回選抜高校野球大会で、中京大中京(名古屋市)は29日、準決勝で智弁学園(奈良)と対戦し、1-2で競り負けた。

 中京大中京は3回、田中選手(3年)が右前打と失策の間に三塁まで進み、神達大武選手(2年)の犠飛で先制。その後、6回に適時打で同点に追い付かれると、8回には1死二塁から適時二塁打で勝ち越しを許した。打線は最終回、代打の杉原選手(3年)の左前打などで1死一、二塁と同点の好機をつくったが、あと一本が出なかった。

■昨秋の敗戦を糧に 危機感から練習変化

 地区大会で連敗を経験した中京大中京が全国4強まで駆け上がった。敗北のたびに悔しさと弱さを知り、それを糧に地道に取り組んできた。

 昨年夏に始動した新チーム。それまで主力として出場していたのは主将の荻田選手(3年)だけ。チームの外から「今年の中京は力がない」という評判も聞こえた。安藤投手は「チームの決まり事を徹底できず、自分たちでも弱いと感じていた」と振り返る。

 秋季大会名古屋地区2次予選では、中部大春日丘にコールド負け。続く至学館戦も競り負けた。「変わらなければ選抜なんて出られない」。チーム内でより積極的に声をかけ合うなど、危機感から練習に対する姿勢が変わり、昨秋の県大会、東海大会を制した。

 だが、明治神宮大会の敗戦で、今度は全国レベルとの力の差を思い知らされる。「体づくり」をテーマに掲げて食事量や筋力トレーニングを増やし、選手は平均で5キロほど増量した。

 冬場の鍛錬が試された甲子園で3勝を挙げ、歴代最多を更新する春夏通算140勝をつかんだ。打線は本塁打2本を放ち、安定した投手陣も光った。

 ただ、同じように頂点を目指す強豪は、わずかな隙も見逃してはくれない。敗戦の悔しさに、目を真っ赤に腫らした選手もいた。「僅差でも守り切れる守備力がないと勝てない。打線ももっと厚みを増さないといけない」と高橋源一郎監督。夏に真価を発揮するため、もう一度、敗北からはい上がる。(牧野良実)

■磨いた直球 成長を実感 4戦先発の安藤投手

 「冬に取り組んできた直球で自信を持って押していこう」。先発でマウンドに上がった安藤投手(3年)は、今大会屈指の強力打線にも動じなかった。5回を投げて無失点。チームに流れを引き寄せ、秋からの成長を存分に発揮した。

 忘れられない試合がある。東海大会の覇者として臨んだ昨秋の明治神宮大会初戦。先発したが、3本の本塁打を浴びるなど5失点で4回途中で降板し、チームもコールド負けを喫した。球が高めに浮く悪癖が修正できず、甘い球は確実に捉えられた。何もできないまま試合が終わった。「ここまで打たれると思わなかった」。全国各地からの出場校との圧倒的な力の差を痛感した。

 敗戦の翌日、「この悔しさを忘れないように」と、試合結果をスクリーンショットで撮ってスマートフォンの待ち受け画面にした。スマホを見る度に苦い思い出がよみがえり、冬のきつい練習を乗り越える原動力になった。

 補食を取り入れるなど1日の食事量を増やし、筋力トレーニングの頻度も週3~4日に増やした。体重は秋から7キロ増えて76キロになり、制球力やフォームが安定した。180センチの長身を生かしきるパワーが徐々に備わった。

 今大会では、球を低めに集めて相手打線を封じ、直球は自己最速の144キロを記録。「直球で空振りを奪え、ピンチの場面でも集中して投げられた」と成長を実感できた。

 それでも、先発した4試合はいずれも途中でマウンドを譲った。「常時140キロを超えるような直球じゃないと夏は勝負できない。完投できるだけのスタミナもつけたい」。甲子園で得た宿題は明確だ。「夢に向かう途中で歩いてもいいからかなえてほしい」という願いが込められた名前の通り、最後の夏こそ「日本一」の夢をかなえる。(牧野良実)

■先制に喜び爆発 エール最後まで

 一塁側アルプス席には約千人が詰めかけ、中京大中京ナインに声援を送った。

 序盤からボルテージは最高潮。3回、1死三塁から神達大武選手の中堅への犠飛で先制すると、応援団は肩を組み、体を揺らして喜びを爆発させた。

 父慎治さん(52)は「信じて見ていました」とにっこり。準決勝を前にラインで「チームのために頑張って」と送ると、「ありがとう」と返事があったという。「皆で一丸になって勝ちきって」と願った。

 その後は息詰まる投手戦。エースの安藤歩叶投手は毎回のように走者を背負ったが、粘りの投球で得点を許さず。ピンチを切り抜けるたび、「ナイスピッチング」「いいぞ歩叶」と拍手が起きた。

 母亜以子さんは「気持ち悪くなるくらいたくさん食べた」という昨秋からの食事を振り返り、「頑張って良かった」と快投に目を細めた。野球部員の濱本さん(3年)は「今大会一番のでき」とたたえた。

 6回に同点、8回に勝ち越されたが、応援団はあきらめずにエール。「まだまだ行ける」「ここから」-。最後まで声を張り続けたがあと一歩、及ばなかった。

 野球部のOB・OGでつくる「中京野球クラブ」の会長で、1997年大会で控え捕手として準優勝を経験した山田剛輔さん(45)は「残した宿題は夏に挽回して」。主力選手として2009年夏の全国制覇に貢献した柴田悠介さん(34)は、後輩たちの捲土(けんど)重来に期待した。「自信を持ち、レベルアップして夏に戻ってきてほしい」(稲垣達成)

■打線 ある程度ミート 中京大中京・高橋源一郎監督

 安藤の調子は良く、気力的にもよく投げてくれた。相手打線もタイミングが合ってきていたので早めに継投した。打線は杉本君の球をある程度ミートできたが、スイッチが入った時のボールは今の状況では打つのが難しかった。

■夏に向け力つけたい 中京大中京・荻田主将

 杉本投手の高めの直球を捨て、低めを振っていくことができたので序盤に1点を取ることができた。終盤の粘っていくところで粘りきれず、失策が絡んで失点につながってしまった。夏に向けた課題として力をつけていきたい。

■しっかり守り切れた 智弁学園・小坂将商監督

 しっかり守り切れた。杉本は直球を狙われ苦しい投球だったが、捕手の角谷が変化球を織り交ぜながらよくリードしてくれた。中京大中京の田中君の打撃は素晴らしく、すごくプレッシャーだった。安藤君は的を絞らせてくれなかった。

■守りから攻撃の流れ 智弁学園・角谷主将

 杉本がピンチになっても動じず、崩れず、粘り強く投げてくれた。守りから攻撃の流れをつくれた。中京大中京は嫌な野球をしてきて、リードしづらかった。特に田中選手は緩急、高低いずれにも対応し、どこに投げても打たれた。

中京大中京001000000|1
智弁学園 00000101x|2
(中)安藤、太田-津末
(智)杉本-角谷

(2026年3月30日 中日新聞朝刊市民版より)
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